離職が多い?営業職の実態、離職による影響と防ぐ方法8選を紹介
更新日:2024年09月29日
公開日:2024年09月29日
業界を問わず、「営業は離職する人が多い」というイメージを持たれがちです。営業職の離職者が増えると売上ダウンに直結するため、企業にとっては大きな問題であり、対策方法を知りたいという人もいるでしょう。
この記事では、営業職の離職の実態や退職理由、会社にもたらす影響、防止策について解説します。営業職の離職について理解し、効果的な対策法を取り入れて業績向上につなげましょう。
目次
離職が多い?営業の実態
実際に営業の離職者は多いのでしょうか?日本労働調査組合が2021年6月に行った営業職の退職動機に関するアンケート調査(※1)から考察してみましょう。調査結果では、営業職で退職を考えたことがある人は80.8%という高い結果になっています。
また、約6割の人は転職や独立に向けて活動中と答えています。営業を辞めたくなった理由の1位は「給料が安い」、2位は「長時間労働」でした。
順位 | 理由 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 給料が安い | 32.4% |
2位 | 長時間労働 | 30.1% |
3位 | モチベーション維持 | 29.4% |
営業職で辛かったことの1位は「ノルマ」、2位は「お客様の理不尽さ、クレーム対応」です。
厚生労働省が公表した「令和3年雇用動向調査結果の概要」(※2)では、2021年の一般労働者の離職率は13.9%でした。営業職単体のデータはありませんが、サービス関連業の離職率がワースト上位であることから営業の離職率も高めと推察されます。
営業職は仕事量に反して給料が安く、ノルマの高さやクレーム対応などの厳しさから離職に至る人が多いと考えられます。
(※1)参考:日本労働調査組合「営業職の退職動機に関するアンケート調査」
(※2)参考:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」
参考:早期離職とは?実態、企業に与えるデメリット、原因、発生させない対策7選を紹介
離職が多い営業職・業界別の特徴
さまざまな業界の中でも特に営業職の離職が多いとされている分野があります。なぜ離職が多いのか、それぞれの特徴をみていきましょう。
証券会社などの金融業界
証券会社などの金融業界は、取り扱う金融商品の販売のノルマが厳しいことから離職する人が多いとされています。高い専門知識を必要とされますが、経験豊富な営業担当者であっても成約率は低いため、ノルマ達成は厳しいようです。
法人・個人に対して訪問や電話での営業をメインに行いますが、断られることも多いため強いメンタルが求められます。業務内容がハードな割に達成感が得られず、心身的な負担が増大し離職に至ると考えられます。
生命保険業界
生命保険業界も厳しいノルマの設定やノルマ未達の際のプレッシャーが主な離職の理由です。完全歩合制の会社が多いことから、成約件数・金額による成果報酬のため収入の不安定さも原因の一つになっています。
電話や飛び込みによる営業活動が中心なこともストレスを溜める要因です。すでに別の保険に加入していることも多く、面談・商品の説明にこぎつけるまでも難しいことがあるとされます。契約を取れる確率が非常に低く、厳しい営業活動と収入の不安定さから離職につながることが考えられます。
不動産業界
不動産業界も、厳しいノルマを設定している会社が多く、離職率が高いといわれています。
住宅や投資用マンションの販売などを行う会社では、高額物件を扱うことから営業活動を行っても成約に至るのは少数です。契約までに長期間を要することも営業活動のモチベーションを下げる要因です。
簡単にはノルマを達成できないことや、営業先で厳しい言葉を受けるなどにより、心身ともに疲れて離職に至ると考えられます。ただし、賃貸物件を扱う会社であれば仲介物件の紹介が中心となるため、不動産業界の中では離職率は低いとされています。
営業職の離職が多い理由
営業職の離職が多い理由には、高いノルマや対人関係によるストレスを受けやすいという職種ならではの要因があげられます。
毎月のノルマが厳しいため
離職者の多い会社では高いノルマが設定される場合があり、その厳しさについていけず離職に至る人がいます。ノルマが達成できなければ、上司から叱責されたり、評価が下がって給与が減らされたりする可能性があるからです。
ノルマを達成しなければというプレッシャーから、無理してでも成果を出そうと長時間労働したり、精神的な負担が増えたりしがちです。ノルマ未達により給与が減額されるなど収入が不安定になると、生活していけるか不安を抱くことも考えられます。
土日休みが取りにくいため
営業職では顧客の都合に合わせて働く必要があるため土日休みが取りづらいことも離職要因の一つです。取引先が土日も稼働していれば、曜日を問わず相手の都合に合わせて商談やアフターフォローを行う必要があります。
商談の準備や報告をしたり、平日会えない顧客のフォローに行ったりと、時間外労働や休日出勤が増えることも多いでしょう。そのような労働環境では、家族や友人と予定が合わず、プライベートにおける充実感や満足感が軽減します。休息も満足にとれない可能性があり、心身ともに疲弊することも考えられます。
対人関係によるストレスを感じやすいため
他の職種と比較して対人関係によるストレスが大きいことも、営業職の離職の原因の一つです。顧客とのやり取りできつい言葉を言われたり、厳しい要求をされることもあるでしょう。気持ちの切り替えがうまくできないと、モチベーションが下がったままになってしまいます。
また、関係部署など多くの人とコミュニケーションを取り、それぞれの要望を調整する役割も求められます。そのような対人関係の中でストレスを感じ、メンタルにダメージを受ける人は多いのではないでしょうか。離職につながらないようにするには、ストレスを上手に解消する方法を取り入れることが大切です。
営業職の離職による影響
営業職の離職率が高まると、売上低下やコストの増大、営業部門の非効率化など、企業に大きな影響が出ます。
売上の低下につながる
営業職は売上に直接貢献する業務を担っていますので、離職者が増えるとその分売上低下につながります。特に、知識や経験が豊富な優秀な社員が離職すると、売上は大きくダウンしてしまい、取り返すことが困難になりがちです。
また、離職した社員が同業他社に再就職した場合、顧客を奪われてしまうこともありえます。他の会社の労働条件なども参考にして、長く働いてもらえる環境づくりが必要です。
採用・育成コストがかかる
離職者が出ると企業は新たな人材を採用しなければならず、離職人数が増えると影響が大きくなるのもデメリットです。新たに社員を採用する場合、広告宣伝費や採用のための人件費、育成のためのコストなどがかかります。
離職率が高い企業は、度々新しく採用活動を行わねばならず、人材を獲得するための採用・育成コストが増大します。また、離職率が高い企業は求職者から敬遠される可能性があり、優秀な人材の確保が困難になることも問題です。
営業ノウハウが蓄積されない
営業社員が離職すると、営業部門全体のスキルアップにも影響が出ます。離職した社員が持っていた営業ノウハウやスキルを共有したり蓄積したりできなくなるからです。
営業部門は個人の持つ営業ノウハウやスキルを蓄積していくことで、チーム全体の能力アップが可能になります。離職によりそれらが得られなくなると、チーム全体のスキル低下につながる可能性があります。
引き継ぎ業務による負担が増える
離職者が出ると、その人の担当していた顧客の情報などを引き継ぐ作業が必要です。離職によって引き継ぎ業務が発生すると、残っている社員が受け持たねばならず、負担が増えるのもデメリットです。
引き継いだ社員は顧客と新しく関係を構築していくことになりますが、一朝一夕にはいきません。スムーズに引き継ぎできなければ顧客に迷惑をかけたり関係の維持ができなかったりする懸念があります。
営業職の離職を防ぐ方法8選
営業職の離職は、企業に大きな影響が出るため予防することが肝心です。以下のような方法を取り入れると離職防止に効果的です。
適切な目標を設定する
高すぎるノルマや目標が原因で離職する人を防ぐためには、実現可能な適切な目標を設定することが必要です。担当者が納得でき、「少し頑張れば達成できる」と感じられる目標を設定すれば、モチベーションを維持しながら働けます。
高すぎるノルマは時間外労働の長時間化など労働環境の悪さにもつながるため、その改善効果も期待できます。目標の適正化は労働環境を改善し、働きやすい職場づくりにつながるため、社員の定着化が目指せるようになるでしょう。
モチベーションを上げる環境を作る
営業業務は売上に直結するため、管理者は発破をかけるような厳しい対応をしがちになります。しかし、厳しいだけではなく、やってきたことを褒めたり、正しく評価したりしてモチベーションを高めることが重要です。
やる気が低下している社員をフォローするためにミーティングを行ったり、一定の業績を上げた場合に表彰するなどを検討しましょう。褒める・評価する機会や制度を取り入れ、モチベーションを上げる環境を作ることが大切です。
定期的に営業担当者のストレスチェックを行う
営業担当者がストレスを溜め込み、心身ともに疲れ、辞めたい気持ちに進まないように、メンタルケアを行うことも重要です。管理者が営業担当者一人ひとりの状態を把握するためにも、定期的にストレスチェックを実施しましょう。
心理的な負担が増えている社員に対してセラピストによるメンタルケアを行うなど、社員をサポートする体制を整えることが必要です。
給与体系を見直す
営業職では成績がそのまま給料に直結する完全歩合制になっていることがあります。営業で安定して成果を出し続けることは難しく、収入の増減があったり、低給料で生活が苦しかったりするケースもあるでしょう。
結果を出さなければというプレッシャーと生活の不安が強くなると離職につながることが多くなります。社員の不安を軽減さえるためには、完全歩合制などの給与体系を見直すことが重要です。
労働時間を管理する
仕事量が多すぎたり、労働時間が長いことも営業職の離職の原因の一つです。営業業務の現状を把握するため、労働時間の管理を徹底するようにしましょう。残業時間を削減するためには、なぜ残業や時間外が多いのか、業務内容の見直しを行う必要があります。
本来の営業業務以外の事務作業や、担当者でなくてもできることを見極め、担当者の負担を軽減させましょう。営業支援ツールなども導入し、業務の改善を進め、労働時間の適正化を図ることが大切です。
教育体制を十分に整える
会社の教育体制が整っておらず、担当者が営業業務をうまくこなせないため離職することも考えられます。自社の取り扱う商品に関しての知識や営業に関するスキル・ノウハウについて学ぶ機会を提供するようにしましょう。
教育体制を整えることで商品の知識が深くなり、より良い提案ができると成果につながる可能性が高まります。営業に関するノウハウやスキルを学ぶためにロールプレイングを行ったり、OJTなども取り入れると効果的にスキルアップできます。
管理職向けの教育も実施する
営業担当者だけでなく、管理職向けに教育を行うことも離職率低下に効果があります。管理職が、部下のやる気を高めるマネジメントスキルを身につけると、社員のモチベーションを維持することが可能です。
部下の育成に役立つ研修を実施したり、管理職同士が意見を交わし合える交流の場を設けるようにしましょう。マネジメント力を高めるような外部サービスの利用なども検討すると管理者の能力向上に効果的です。
キャリアプランを考える機会を与える
仕事をやる意義が見いだせない、将来性がないと感じることも、離職につながります。将来像が見えず「この先ずっと同じことを続けなければならないのか」と、ネガティブな思考に陥ると離職が視野に入ります。
管理者は、営業からどのようなキャリアアップができるのかを明確に考えられる機会を提供することが必要です。今行っていることが自身のキャリアや将来に役立つことがわかれば、モチベーションを維持しながら営業活動を続けられるでしょう。
営業職の離職要因への対策を図り、働きやすい職場づくりを目指そう
営業職は離職率が高いと言われますが、離職者の多い業界には一定の傾向が見られます。離職率を下げるためには、多くの人が離職理由にあげている高いノルマや労働環境の見直しを行うことが必要です。対策によって働きやすい職場づくりができれば定着率向上が期待できます。
また、教育体制を整え、営業としての能力を伸ばしたり、適正な評価を与えたりすることも離職防止に効果的です。優秀な営業担当者を育て、定着化させて、自社の売上向上や成長につなげていきましょう。
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