1on1ミーティングとは?目的や進め方、導入のメリット(効果)・デメリットを紹介
更新日:2024年07月16日
公開日:2024年07月16日
1on1ミーティングは、従来の面談とは違ったメリットがあり、大手企業などで人材育成に広く活用されています。社員のモチベーションアップや離職率低下に効果があるため、導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、1on1ミーティングの概要や目的、メリット・デメリット、進め方や成功のコツを解説しています。1on1ミーティングを導入し成果をあげている企業の事例についても紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1on1ミーティングとは?
1on1ミーティングとは、定期的に上司と部下が行う1対1の面談のことです。部下のモチベーション向上や人材育成を目的としており、業務やキャリアに関する課題を聴き出しフィードバックしていきます。
1on1ミーティングは、双方の対話型コミュニケーションを通して部下の主体性を育み、上司との距離を縮める効果があります。また、部下のモチベーションを高めながら成長を促せるため、上司や会社に対する信頼感やエンゲージメント向上にもつながるのです。
面談との違い
1on1ミーティングは、従来の面談とは目的や相互の関係性が異なります。従来の面談では、上司が部下に業務の指示や連絡事項、個人目標の達成度の確認、評価を行うことが主な目的です。
一方、1on1ミーティングでは、部下の悩みや不安、業務に関する課題などを引き出し、成長を促すことが目的です。このため、上下関係はあるものの、一方的な通達ではなく、同じ目線での対話がメインとなります。
また、実施サイクルにも違いがあり、従来の面談は、日常的な業務指示やタスク管理とは別に半年や四半期に1度程度が一般的です。1on1ミーティングの実施サイクルは週に1度、少なくとも月に1度は実施されます。その分実施時間は短く、30分以内が一般的です。
1on1ミーティングが注目されている背景
1on1ミーティングが注目されている背景はいくつかありますが、ここでは以下の2つの面から解説していきます。
VUCA(ブーカ)時代への対応
VUCAとは、Volatility(変動性)) 、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った言葉です。もともとはアメリカの軍事用語でしたが、現在では現代社会が予測不能な状態にあるということを指す意味で広く使われます。
現代のようなVUCA時代では、従来の経験や定石が通用しないケースが多々起こります。このような状況を乗り切るためには、1on1ミーティングで上司と部下の双方が柔軟な思考を持ち、行動することが重要です。
人材不足への対応
現在、少子高齢化の進行や労働人口の減少により、企業の人手不足が重要な課題となっています。新規入職者も豊富ではないため、企業は既存社員の離職を防ぐためにさまざまな手段を講じる必要があります。
そのためには、離職の原因を特定し、早期に対策を講じることが重要です。1on1ミーティングによって直接部下の声を聞き、改善策を実施することは、社員の能力発揮やモチベーションの向上につながります。その結果、仕事にやりがいを感じ、エンゲージメントも向上することで、離職率低下に効果を発揮するでしょう。
1on1ミーティングの目的
1on1ミーティングは、部下の成長を促し、上司との相互理解を深めることが目的です。上司部下ともに目的をしっかり意識することで、よりミーティングの効果が高まります。
部下の成長を促す
1on1ミーティングは、部下の成長を促すための定期的なフィードバックの場として非常に有効です。部下は、最近の悩みや課題についてタイミングを逃さず相談することができ、こまめなフィードバックを受けることで短期間で課題を解決することが期待できます。
また、上司と一緒に自身の行動を振り返ることで、客観的な目で修正点や問題点に取り組むことが可能です。これにより、自分自身で課題を解決する経験を積め、今後の業務やキャリアに対しても能動的に考え行動するような成長を促せます。
上司と部下の相互理解を深める
1on1ミーティングは、上司と部下が定期的に関わるため、密なコミュニケーションが可能です。上司が部下の個人的な悩みや考えに寄り添うことで、相互理解が深まり、信頼関係を構築できます。
1on1では、上司は業務上の関わりとは異なるパーソナルな対話を心がけることが重要です。これにより部下に相談しやすい環境を提供でき、業務上の報連相もしやすくなります。
1on1ミーティングを導入するメリット(効果)
1on1ミーティングを導入することで、多くのメリットがあります。ここでは主なメリットを4つ解説します。
部下の主体性向上が期待できる
部下が主体になる1on1ミーティングでは、業務における悩みや感じていることなどが話題となります。部下が自身の思いを言語化し、行動に移すことを促進するため、主体性を育てることが可能です。
上司とともに課題の発見と解決を繰り返すことで、部下はやがて一人で考え行動できるようになります。キャリアに関しても客観的なアドバイスを受けることができるため、適性やキャリアデザインの方向性を見つけるきっかけにもなります。
上司と部下の信頼関係を構築できる
定期的な対話や課題解決に取り組むことで、上司と部下の距離が縮まり、信頼関係が構築されます。部下は小さな問題にもフィードバックを受けられるため、安心してさまざまなことに取り組めます。
また、部下は将来やキャリアに関する相談などもできるため、企業の実情に沿ったアイデアを得ることも可能です。上司との信頼関係が構築されれば、モチベーションが高まり、やる気を持って仕事に取り組むことができるようになります。
業務の効率化を図れる
1on1ミーティングを行うと、従来よりも面談時間が増え、業務に支障が出ると感じる人もいます。しかし、1on1によって部下の特性をより深く知ることで、適切な振り分けができるようになるため、業務の効率化につながります。
部下が話題を展開し、アクションを起こす能力が鍛えられるため、能動的に動ける人材育成が可能です。1on1の運用を継続することで、自発的に動ける優秀な社員が増え、生産性や効率性が高まります。
離職防止につながる
1on1ミーティングは、離職防止にも効果的です。日常的にコミュニケーションが不足している職場では、部下が不満や悩みを抱えても気づけず、モチベーションが低下し、離職につながることがあります。定期的に1on1を行い、考えていることや悩みを共有する機会があれば、部下は一人で抱え込まずに済みます。
こまめな面談を通じてプライベートな話や業務のすり合わせを行うことで、信頼関係を築くことが可能です。上司と部下のすれ違いも起きづらくなり、ストレスなく安心して働けるため、離職防止につながります。
1on1ミーティングを導入するデメリット
1on1ミーティングには、メリットだけでなくデメリットもあります。デメリットを理解して運用することで、より効果をあげることができるでしょう。
効果が出るまで時間がかかる
1on1ミーティングは、OJTなどと違い、効果を実感できるまでには時間がかかります。社員の本音を引き出し、円滑に育成を進めるためには信頼関係の構築が不可欠です。しかし信頼関係構築には時間がかかるため、即効性は期待できません。
1回ごとの面談は短時間で行うため、その時々で話題が変わることもあり、効果の測定が難しいこともあります。社員の成長を長期間にわたってサポートする意識が必要です。
上司が持つスキルによって成果が変わる
1on1ミーティングでは、これまでの面談のように上司が一方的に指導するのではなく、部下が主体となります。そのため、評価や足りない点の指摘は控えないと、部下は率直な意見や考え、悩みを話しづらくなります。
上司は、部下からうまく本音を引き出すためのコミュニケーションスキルを高めることが重要です。スキルの低い上司が1on1行うと、必要な情報が聞き出せず、目的の達成が難しくなるので注意しましょう。
1on1ミーティングの進め方の6ステップ
ここでは実際に1on1ミーティングを進める方法について、6段階に分けて解説します。
ステップ1:1on1ミーティングの目的を伝える
1on1ミーティングを実施するときには、その意味や目的を事前に伝えるようにしましょう。これは定期的に面談を行うことで、仕事が増えると捉えられるのを防ぐためです。一方的な指導ではなく、協力して実施することも伝えます。
部下にネガティブな印象を与えてしまうと率直な対話がしにくくなり、成長につながる情報を引き出すことが困難になります。1on1ミーティングの効果を高めるためにも事前に情報共有を行い、納得感を持って参加してもらいましょう。
ステップ2:スケジュールを決める
1on1ミーティングでは定期的な開催と継続が重要なため、一定のスケジュールを決めておくようにしましょう。週に1回、最低でも月に1回、30分程度の面談を行うのが一般的です。事前に決まった曜日や開催時間、面談にかける時間をスケジューリングしておくと安心です。
コミュニケーションの頻度が高いほど相互の距離を縮めることができ、密な情報共有も可能となります。そのため、キャンセルが続くと効果が薄れてしまいます。スケジュール通りにいかない場合は早めに代わりの日程を決め、実施することが大切です。
ステップ3:話す内容を決める
1on1ミーティングでは、これまでの面談とは違い、話す内容については部下が決定するようにします。相互理解を深めることが目的ですので、部下が話しやすいテーマを選んでもらうことが大切です。
テーマは、仕事に関する報告や職場で起きていること、今度のキャリアについてなどから選ぶとよいでしょう。自分自身で話す内容を決めることで、部下の自主性を高めることができます。
ステップ4:部下の話を聞く
テーマが決定したら、部下に質問をしながら話を聞きます。部下にはあらかじめ話す内容を考えてもらうようにしますが、より情報を聞き出すために適切な質問をはさみましょう。
対話中は上司は聞き役に徹し、自分の意見や考えを押し付けないことが肝心です。また、部下が課題に対する答えを自ら導き出せるような質問をし、建設的な会話を行うことが重要です。対話中に気になることがあった場合は、部下が話し終わったタイミングで質問するようにしましょう。
ステップ5:アクションを明確にする
話をしっかり聞いたら、問題点や課題を絞り込み、解決策の実行に必要な行動を明確にしていきます。解決策は上司が提案するのではなく、部下が自分で見つけ出し、必要な行動を決めることが大切です。
それにより、自分の決めたことをやり遂げるという責任感がもて、内発的モチベーションを支援できます。アクションを明確にすることで、自発的な行動を取りやすくなり、達成する可能性が高まります。
ステップ6:ミーティングの振り返りをする
ミーティングの内容を振り返り、決定したアクションや自ら行うサポートについてお互いに確認します。良い点や改善点をフィードバックしますが、相手の意欲を損なわないように伝え方には工夫をしましょう。
フィードバック後には部下の意見や感じたことも聞いておきます。話した内容は毎回記録し、効果の判定など次回に活かすようにしていきます。このような取り組みを継続していくことが重要です。
1on1ミーティングで話すべき内容
1on1ミーティングでは、雑談から業務の専門的な話などさまざまなテーマを取り上げます。最初はまだ距離のある関係ですので、雑談や健康状態のことなど部下が話しやすい内容がよいでしょう。
また、日常感じている疑問などを一緒に考え、解決する姿勢で話し合うことで、信頼関係が築きやすくなります。面談を定期的に繰り返すことにより、何か問題があったとき相談できる関係を構築できます。
また、部下は対話によって第三者の視点を得られると、学びや気づきにつなげることが可能です。これにより、部下の成長を促進できます。
1on1ミーティングを成功させるコツ
1on1ミーティングを成功させるために、上司は必要なスキルを身に付け、継続していくことが重要です。以下の3つのポイントを押さえて、効果的に1on1を実施しましょう。
運用の負担を減らせるツールを活用する
上司が抱える部下が多い場合には、頻繁に行う1on1ミーティングは通常の面談よりも負担が増加します。そのため、ミーティングで利用できるツールを活用し、運用の負担を減らすことも検討しましょう。
たとえば、話した内容を文書化できる文字起こしツールを使えば、面談中にメモを取る必要がなく、面談後の事務処理を軽減できます。また、スケジュール管理ツールを利用すれば設定が簡単になり、通知機能によって面談時間を忘れることが防止できます。
必要なスキルを身に付ける
部下と良好な関係を築くためには優れたコミュニケーションスキルが必要です。部下の悩みや相談を引き出すための傾聴姿勢やコーチングスキルを身につけましょう。また、部下との思考の違いを埋めるためのフィードバックスキルも重要です。
1on1は一方的な指導ではなく対話であることを忘れずに、部下の成長につなげる意識を持って話を聞く姿勢が大切です。
部下の特性に合うサポートをする
人材育成を行う際には、部下の特性に合ったサポートを行うようにしましょう。それぞれ性格や経験、学習の習熟度や現在の状況などが異なるため、適切なサポート方法を実施することが大切です。
職場での様子や仕事の進め方などを観察し、部下の特性をつかむように心がけます。相手に合わせて細かな指示を出した方が良いのか、任せた方が良いか、SL理論なども参考にサポートを行いましょう。
1on1ミーティングを導入する企業の事例
1on1ミーティングを導入し、成果をあげている企業の事例を紹介します。自社ならではの1on1を実施する際の参考にしてください。
ヤフー株式会社
1on1ミーティングは、2012年ヤフー株式会社が導入し、人材育成に高い効果をあげたことで注目されました。部下のやる気や隠れた才能を引き出すためは、上司と深い信頼関係を構築し、理解し合うことが重要だと考えたのです。
ヤフー株式会社では、信頼関係構築とともに、経験を次の仕事に活かす「経験学習サイクル」を実務に組み込んでいます。このようなコミュニケーションの改善と、部下の能力を高める施策を行い、1on1ミーティング自体の評価も実施しています。
これによりトラブルの減少や、業務の効率化が向上し、カリキュラム化した施策を社内文化として定着させることが可能になりました。
参考:ヤフー株式会社「「1on1ミーティング」で強い組織をつくる 人材育成のための部下とのコミュニケーション」
株式会社リコー
株式会社リコーでは、上司と部下が気軽に話せる場として1on1ミーティングを実施してきました。これにより社員のモチベーションアップや安心感の向上に効果的であることが経験済みです。そのため、昨今のリモートワークが増える中でも、週1回の1on1を推奨しています。
さらには、オンライン朝礼やランチ会などを実施し、リモートワーク下でのコミュニケーション不足を補う施策も取り入れました。このような取り組みによって、社員アンケートにおいても、生産性が向上したというポジティブな結果が得られています。
参考:アデコ株式会社「リコーに見るニューノーマル時代の組織づくり 〜リモートワークは組織が発展するチャンス〜」
1on1ミーティングを活用し、効果的に人材育成を行おう
1on1ミーティングは、部下の自主性を育み、効率的に成長を促すことが可能なため、人材育成において欠かせない手段の一つです。通常の面談との違いをしっかり理解し、部下の本音をうまく引き出して成果につなげましょう。
1on1ミーティングでは、長期にわたって部下の成長をサポートするため、上司の負担が大きくなります。負担が軽減できるツールを積極的に活用し、持続可能な1on1施策を実施しましょう。
育成支援AIツールで1on1ミーティングを効率的に実施
オンラインでも、オフラインでもAIが商談を録画・議事録を作成してくれる育成支援AIツール「ACES Meet」。
このツールは、商談やミーティング中の様子を録画、AIが自動で文字起こし、議事録の作成まで行えます。また、話しているスピードや内容などをAIが解析し、どんなトピックにどれくらい時間を使ったのか、重要な箇所はどこなのかを分かりやすく表示します。
この議事録を見ることで、振り返りやナレッジの蓄積、タスクの抜け漏れ防止にもなります。また、トッププレイヤーの録画映像は、生きた教材となり、良質なOJTとなるでしょう。
まずは情報収集として、お気軽に資料をダウンロードしてみてください。