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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?導入ステップや導入事例も解説

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更新日:2024年03月11日

公開日:2024年03月01日

DXという言葉を耳にするものの「IT化やAIとの違いがわからない」「意味をよく理解していない」という人は多いでしょう。DXとは、デジタル技術を活用して自社の競争力を高めていく施策です。DXの概要や進め方について理解し、自社の業務の効率化やビジネスモデルの変革に役立ててみてはいかがでしょうか。

この記事では、DXの意味や似ている用語との違い、導入ステップについて解説します。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXを推進するにあたり、まずはDXがどのようなものかを知っておく必要があります。言葉の意味や、なぜ今必要とされているのかを理解しましょう。

DXとは競争力を高めていく施策のこと

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して自社の競争力を高めていく施策のことです。DXという言葉は、日本では2018年に経済産業省が発表した、デジタル産業の創出に向けた研究会の報告書「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」(※1)から使われるようになりました。

DXを行うと、営業フローを効率化できたり商品やサービスをよりリーズナブルに販売できたりと、幅広いメリットがあります。なお、DXを効果的に行えば、業務を効率化するだけにとどまらず、新たなビジネスモデルの創出なども可能です。

DXを試行錯誤しながら行い、営業利益を挙げ始めている日本企業も少なくありません。

(※1)参考:経済産業省「DXレポート2.1(DXレポート2追補版)」

「2025年の崖」を乗り越えるために必要

国がDXを推進する目的の一つに「2025年の崖」という問題があります。2025年の崖とは、経済産業省が発表したレポート(※2)内で使用されている言葉です。レポートには、日本がDXを実現するための障壁を取り除かないと、2025年以降に最大12兆円の経済損失が生まれることが記されています。

多くの企業では、既存システムが部署ごとに構築されており、社内全体でのデータ共有が難しい状況です。また、システムが過剰にカスタマイズされており、データが複雑化しているとの指摘もあります。

日本の経済損失を防ぐためにも、DXを阻む要因を一つずつ解決していく必要があるのです。

(※2)参考:経済産業省「DXレポート」

DXとIT化、AI活用との違い

DXという言葉が使われる文脈において「IT化」「AI活用」というワードが並ぶことも多いでしょう。それぞれの意味の違いを知り、DXにおける情報をより深く理解し活用できるようにしましょう。

DXとIT化の違い

DXが企業の競争力を高めていく施策であるのに対し、IT化はアナログ業務をデジタルに置き換えていく作業のことをいいます。たとえば、手書き書類を廃止するために承認申請ツールの導入を行うことは、IT化と表現できるでしょう。

IT化を推進した結果、業務プロセスが改善され企業の競争力がアップすれば、DXが成功したともいえます。つまり、DXは企業経営を円滑に行うための「目的」であるのに対し、IT化はDXを図るための「手段」であるといえるでしょう。

DXとAI活用の違い

AI活用もIT化と同様、DXを成功させるための手段の一つです。ただし、AI活用は単にアナログ業務のデジタル化を行うIT化とは性質が異なります。AI活用とは、人工知能を持つコンピューターを用いて大量のデータ分析を行い業務を短縮する、一連の流れのことです。

AIを活用すると、音声アシスタントやチャットボットによる営業活動の自動化など、IT化だけでは実現できないさまざまな施策を講じられます。AI活用もIT化と同様、DXを推進するための「手段」であり、DXは企業の目標を達成するための「目的」といえるでしょう。

DXのメリット

DXは日本の経済効果を高めるだけにとどまらず、一企業の経営の活発化にもメリットをもたらします。DXを行う過程で企業の業務効率化や、生産性アップを実現できることを理解しましょう。

業務効率化が実現できる

DXに取り組む過程で働き方の見直しが行われるため、結果的に業務の効率化が実現できます。DXでは最終的な目的である「競争力の強化」を行うために、業務が滞りやすい部分の改善が必要です。たとえば、申請書類の承認業務をインターネットで行えるようにすれば、提案から決定までのプロセスがスムーズになります。社員はスピーディに行動に移せるため、結果的にビジネスチャンスを掴むことができるでしょう。

企業がDXに取り組むと、社員にとってもよい選択となりうるのです。

生産性が向上する

DXに取り組む過程で作業の無駄がなくなるので、業務の生産性が向上します。前述したとおり、DXを行うと業務の効率化を図れるため、従業員は本来の仕事に集中することが可能です。たとえば、DX化を図るためのツールとして、顧客属性や購入履歴などのデータを分析する営業支援ソフトウェアがあります。従業員は得られた情報をもとに、より効果的なマーケティングを実現することが可能です。

企業がDXに取り組めば、業務の質がアップし結果的に生産性が向上するでしょう。

競争優位性が向上する

DXの推進により企業が成長することで、市場における競争優位性が高まります。企業がDXを行う過程で、AIやITツールを用いて業務の効率化を図るケースは多いものです。たとえば、顧客分析にAIを用いるとニーズや購買行動の精査をより緻密に行えるため、販売をより促進できます。他社がまだ手がけていない部分に焦点をあてることで、競争において一歩リードする可能性が高まるのです。

DXを通じたビジネスの仕組みの見直しは、商品やサービスの価値を高め、競争優位性の向上にも貢献します。

DXのデメリット

DX推進において企業のメリットは大きいものの、実現までの負担が大きいことも事実です。業績アップや効率化などの目に見える成果を得られるまでに、ある程度の時間と労力を要する点を理解しましょう。

会社全体で推進する必要がある

DXは特定の部署だけで実現できる施策ではないため、会社全体で協力しながら推進する必要があります。DXは企業の競争優位性を高める大きなプロジェクトとなるため、単一の部署だけが努力しても成果は得られません。

また、経営層とそのほかの従業員の間で生じる認識のずれも、DX推進を阻む要因となります。DXを成功させるためには、経営層と全部署での合意形成を図り長期的に取り組む必要があるのです。

コストがかかる

DXを推進するには新たなシステムやツールの導入が避けられないため、金銭コストはある程度かかるものと考えましょう。企業がDXを図るには、初期投資として業務プロセスを効率化するためのソフトウェアや、サーバーやネットワーク機器などの物理的インフラの用意が必要です。

また、ツールを安全に使用するためには、セキュリティ対策にも投資が求められます。企業の成長には欠かせない初期投資ですが、中小企業にとっては金銭的負担になる可能性があるでしょう。

結果が出るまでに時間がかかる

DXに取り組み始めてから効果を実感できるまでに時間がかかるため、長期プロジェクトになることを意識しましょう。次章から詳しく説明しますが、DXの推進には自社の現状把握からデータの分析まで計4つのステップの実行が必要です。それぞれのステップには人材確保や予算準備など、すぐには達成できない工程も含まれます。

完全なDX化までに3〜5年はかかるともいわれているため、達成に要する期間を見積もってからのスタートが必要です。

DX推進のためのステップ

DXを推進するにあたり、どのようなステップを踏めばいいか気になるところです。DXを行うには、一般的に以下のような流れを踏みます。

  1. 自社の現状・課題を把握する
  2. 人材の確保と組織改革を行う
  3. デジタル化による業務効率化を実施する
  4. データを蓄積し分析する

ぞれぞれの段階で必要となる資源や、行うべきことについて理解しましょう。

自社の現状・課題を把握する

DXを推進するにあたり、自社で課題となっている部分を把握し可視化を行いましょう。市場での競争力を思ったように高められない企業には、DXの推進を阻む要因が隠れているはずです。情報資産や既存のシステム、人材の能力などの「ヒト・モノ」の状況を、トータルで把握する必要があります。

「ヒト・モノ」の状況をもとに自社の強みと弱みを明確にすれば、DXの方向性を定めることが可能です。

人材の確保と組織改革を行う

DXを具体的に推進するには、適切な人材の確保とそれを支える組織体制を整える必要があります。仮に、既存の組織でDXを推進するのが難しいと考えられる場合は、専門のチームを立ち上げる必要があるでしょう。DXを推進するにあたり必要な知識を持っている人材を「DX人材」と呼び、以下の職種の人々があてはまります。

  • プロジェクトマネージャー:DXプロジェクトの責任者
  • ビジネスデザイナー:企画・立案の担当
  • テックリード:技術チームのリーダー
  • データサイエンティスト:データ分析の中心
  • 先端技術エンジニア:AI、ブロックチェーンなどの先端技術を開発する人材
  • UI/UXデザイナー:インターフェースをデザインする人材
  • エンジニア・プログラマ:システム構築を行う人材

上記のようなDX人材の確保には、既存社員の育成や外部人材の手配などが必要です。

デジタル化による業務効率化を実施する

実際にデジタル技術を活用して業務プロセスを改善し、効率化を図るフェーズに入ります。デジタル化が必要な部分は企業によって異なりますが、以下はどのような会社でも比較的取りかかりやすい例です。

  • データ入力や報告書作成の自動化
  • Google DriveやDropboxを利用したファイルの共有
  • SlackやMicrosoft Teamsを活用したコミュニケーション
  • 会議のオンライン化

デジタル化による効率化が成功すると、コスト削減や業務のスピードアップにつながります。今までかかっていた時間やお金を本来集中すべき業務にあてられるため、顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

データを蓄積し分析する

デジタル化された業務プロセスから得られるデータを活用し、今後の企業戦略に役立てます。実際に業務をデジタル化した結果、さまざまなデータから改善すべき点やさらに伸ばしたい点が見つかるはずです。

また、得られたデータをさらに分析すると、業務プロセスの効率性や顧客行動、売上の動向などが掴めます。データを適切に分析し活用することで、業務改善や新たなビジネスチャンスの発見が期待できるでしょう。

DXを成功させるためのポイント

DXを成功させるためには、どのようなことに気をつけたらいいのか気になるところです。企業がDXを目指すうえで課題となりやすい部分を知り、気をつけるべきポイントを理解しましょう。

経営層と現場が連携して実施する

DXの推進には、経営層と現場が目的やビジョンを共有する体制を作ることが重要です。DXのような大きなプロジェクトを進める際、経営層と現場の間でコミュニケーション不足に陥るケースは少なくありません。経営層が現場のニーズを理解せずに進めると、従業員の抵抗やプロジェクト遅延を招く可能性があります。

DXをスムーズに進めるには、経営層と現場がDXの目標とプロセスについて共通の理解を持つことが重要です。DX推進においてもっとも変化の影響を受けやすいのは従業員であるため、現場の意見を積極的に取り入れサポートするように心がけましょう。

DX人材の育成・採用をする

DXをよりスピーディに進めるには、専門人材の採用や育成に力を入れることも必要です。DXの専門人材がいる企業といない企業では、プロジェクトの推進力に大きな差が出ます。しかし、外部の人材を頼りすぎるとコストが増大したり、従業員との摩擦が生じたりするきっかけにもなるでしょう。

DXをスムーズに行うためには、外部からの人材を適切に配置したうえで、既存の従業員の育成にも力を入れるのが最適です。同時に、DXを推進するためのキーパーソンを選定し、リーダーとしての教育にも注力するとプロジェクトが円滑に進むでしょう。

ツール導入を目的にしない

多くの企業が陥りやすい点ですが、DX推進にあたりツール導入をゴールとしないよう注意が必要です。ツールはお金をかければすぐに取り入れられますが、導入により企業課題が解決しなければ意味がありません。必要のないツールを導入すると、費用対効果が低下しDXの本質から逸脱してしまいます。

ツールの導入は目的達成のための手段であることを念頭に置き、課題に合ったサービスを導入するよう意識しましょう。そのためには、ツールを導入する前に自社にどのような課題があるかの掘り下げが必要です。

顧客目線を忘れないようにする

DXの目的は競争力の強化ですが、そのためには顧客目線が重要であることを忘れないようにしましょう。業務プロセスの効率化やコスト削減に重点を置きすぎると、顧客視点が欠けてしまいます。どのようなビジネスであっても成功には顧客の満足度が重要となるため、サービスを購入する側の視点を顧みないと成果にはつながりにくいものです。

業務がいかに便利になっても、顧客目線を忘れずにニーズや体験の向上に力を入れましょう。

企業のDX導入事例

日本や海外で実際にDXを導入し、成果を挙げ始めている企業は少なくありません。ここでは企業のDX導入事例を解説するので、自社での推進の参考にしましょう。

Tesla(テスラ):営業を完全オンライン化へ

電気自動車を販売するアメリカのテスラ社は、2019年から店舗でのセールス活動を終了しオンライン販売に移行しました。本来、自動車の購入は高額な買い物であるため、顧客の目もシビアになるものです。しかし、テスラはオンラインでの試乗予約や、購入後7日以内であれば全額返金を受けられるシステムを導入し、顧客が車を選びやすい環境を整えました。

営業のオンライン化の狙いはコスト削減にあり、テスラ社は自動車の平均価格を約6%下げられると見込んでいます。

TRIAL(トライアル):サプライチェーン業務にAIを活用

ディスカウントストアを手掛ける株式会社トライアルカンパニーは、福岡県内の店舗にAIによる流通業務を取り入れています。AIカメラやセンサーを用いて商品の在庫をリアルタイムで監視し、商品が欠品になった際は棚の証明が光り従業員に知らせる仕組みです。AIを用いることで商品の欠品を検知し、すみやかに在庫を発注できるようになっています。

AIカメラのデータは製造業者や卸売業者にも共有し、サプライチェーン全体での協業を推進しています。トライアルは今後もデータを蓄積していき、他社との共同研究などによりさらに新たな価値を創造する考えです。

Shake Shack(シェイク・シャック):注文フローのデジタル化へ

ハンバーガーを提供するアメリカのShake Shackは、事前注文アプリを開発しました。Shake Shackがこだわったのは、顧客が今よりも簡単に食事を注文できる工夫をしつつ、ブランド力を損なわないようなツール設計です。顧客の店舗での待ち時間の短縮や、フラストレーションの削減を実現するためにさまざまな工夫を行いました。

アプリ開発の結果、店舗の人件費を削減できたうえ、顧客単価の15%アップにも成功しています。Shake Shackが理想とする顧客体験を保ったまま、サービス拡大に成功した例といえるでしょう。

DXを目指すなら自社の課題整理から始めよう

DXは、単にアナログ業務のデジタル移行を指すのではなく、先端技術を用いて自社の競争力を高める施策です。市場の優位性を高めることができますが、DXの成功にはリソースの用意が求められます。また、DXを完了するまでに3〜5年かかるともいわれているため、まずはDXを行う目的や課題の整理が必要です。

DXの導入を検討する際は、全体像の把握や自社の課題整理からスタートしてみましょう。

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執筆者

ACES Meet 編集部

ACES Meetは、AI がオンライン商談の録画・書き起こしを行い、商談の内容や温度感を共有・解析できる営業支援AIツールです。ブログをとおして、主に商談にまつわるナレッジをお届けいたします。

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