フォロワーシップとは?具体的な行動例から育成する際のポイントも解説
更新日:2024年08月07日
公開日:2024年08月07日
「リーダーに従うだけでいいの?」「メンバーにも責任ある行動を取ってほしい」と考える人は少なくありません。フォロワーシップの概念を取り入れると、メンバーは自分の役割やリーダーのサポート方法を理解でき、組織活動が質のよいものになります。
この記事では、フォロワーシップの本質や行動例、育成する際のポイントを解説します。
目次
フォロワーシップとは?
フォロワーシップとは、メンバーがリーダーに従い業務を進めることを指します。単にリーダーから言われたことに従うだけでなく、組織の目標達成に向けて積極的に働く姿勢を表す概念です。
フォロワーシップを理解しているメンバーは、リーダーの方針を理解し自らの役割を果たします。メンバーのフォロワーシップへの理解は、組織の成功の鍵となる要素です。
メンバーシップとの違い
フォロワーシップとメンバーシップには、以下の違いがあります。
説明 | 例 | |
フォロワーシップ | リーダーを支えるためのメンバーの行動や態度 | リーダーが指揮するオーケストラで、楽団員が指揮者の意図に沿って音楽を作り上げる |
メンバーシップ | メンバーとしての立場や態度 | チームの一員として、定期的に集まり活動に参加する |
フォロワーシップは、リーダーのビジョンを理解し積極的に提案を行いながらプロジェクトの成功に貢献する態度のことです。
一方、メンバーシップは、組織の一員として与えられた役割を遂行し、チームの目標達成に貢献する態度をいいます。
フォロワーシップは、リーダーの存在が前提であるという点でメンバーシップとは異なります。
リーダーシップとの違いは?
フォロワーシップとリーダーシップには、以下の違いがあります。
説明 | 例 | |
フォロワーシップ | リーダーを支えるためのメンバーの行動や態度。 | リーダーが指揮するオーケストラで、楽団員が指揮者の意図に沿って音楽を作り上げる。 |
リーダーシップ | 組織やチームを導くためのリーダーの行動や態度。 | オーケストラの指揮者として、楽団員に指示を出し、音楽全体の調和を図る。 |
フォロワーシップはメンバーの態度を示す概念ですが、リーダーシップはリーダーのビジョンに基づいた行動のことです。フォロワーシップの主語はメンバー、リーダーシップの主語はリーダーという違いがあります。
企業にとってフォロワーシップが重要な理由
フォロワーシップが企業にとって重要といわれるのはなぜか、気になるところです。リーダーとメンバーとの相互作用が、組織にもたらす影響を解説します。
相乗効果によってリーダーシップが向上する
フォロワーシップは、リーダーシップの効果をより向上させます。メンバーがリーダーのビジョンを理解しサポートすることで、リーダーは自信を持って決断できるようになるからです。
決めかねている選択肢に対してメンバーからのフィードバックがあると、リーダーの意思決定の質が向上します。リーダーとメンバーとの協力体制は、組織の目標達成への道筋を強化する要素です。
組織全体が活性化する
フォロワーシップの文化が根付くと、組織全体が活性化します。メンバーが単なる指示待ち状態から抜け出し、問題解決に自発的に取り組むようになるからです。
リーダーとフォロワーの間で活発な意見交換が行われると、創造的なアイデアが生まれやすくなります。組織の活性化は、変化の激しい環境下で成長するためのポイントです。
上司と部下の関係性が向上する
フォロワーシップのある組織では、上司と部下の関係性も向上します。互いの立場を深く理解し、開かれたコミュニケーションが行われるからです。
部下は上司の意図を汲んで業務を遂行でき、上司は部下の能力を最大限に引き出し、仕事を任せられるようになります。両者の良好な関係性は、チームの生産性と満足度を大きく向上させるための近道です。
仕事へのモチベーションが向上する
フォロワーシップは、個人の仕事へのモチベーションを高めます。仕事を長く続けるためには、業務遂行能力を高めるだけでなく働く楽しさややりがいを感じることも大切です。
メンバーはリーダーから信頼されていると感じると、自己効力感が高まります。自己効力感がもたらすモチベーションは、高いパフォーマンスやクオリティの高い仕事につながります。
フォロワーシップの種類
フォロワーシップの概念では、フォロワーを5種類に分類できるとされています。ここでは5つのフォロワータイプについて解説するので、自分や周りのメンバーがどれに当てはまるか考えてみましょう。
模範的フォロワー
模範的フォロワーは、しばしば「右腕」と称されるほど組織の成功に欠かせない存在です。リーダーのビジョンをよく理解し、組織の目標達成に向けて自ら動きます。
高い主体性と責任感を持つため、ほかのメンバーにもポジティブな影響を与えるタイプです。チーム内でも信頼されるメンバーであり、リーダーとの強い協力関係を築きます。
孤立型フォロワー
孤立型フォロワーは、批判的かつ消極的な態度を取るメンバーです。高い成果を出そうと自らの業務に集中しますが、ほかのメンバーとの協働を避ける傾向があります。
批判や意見の内容は的を射ることが多いものの、チームプレーには向かない存在です。周りのメンバーには、孤立型フォロワーの強みを活かしつつ、チームに溶け込む工夫が求められます。
順応型フォロワー
順応型フォロワーは、リーダーの指示やルールに忠実に従うタイプです。リーダーの指示をすぐに実行し、変化にも柔軟に対応するためチームの安定には欠かせません。
しかし、リーダーの意見を絶対と捉えるため、自分の頭で考えないイエスマンと思われることもあります。周りのメンバーには、順応型の適応力を評価しつつ積極的な意見を促す工夫が必要です。
消極的フォロワー
消極的フォロワーシップは、批判的な意見もせず積極的な態度も取らないタイプです。リーダーの指示に従うだけで、組織の革新や改善へのモチベーションがありません。
個人の成長機会を逃すだけでなく、組織全体の活力を低下させる恐れがあります。周囲のメンバーには、消極的フォロワーの潜在能力を引き出し参加を促すためのサポートが必要です。
実務型フォロワーシップ
実務型フォロワーシップは、言われたことに真面目に取り組むタイプです。細かい部分への注意力と実践的なスキルを持ち、組織の安定した運営に貢献します。
しかし、チャレンジ精神や向上心はなく、与えられた仕事以外への興味はありません。周囲からはバランスのよい人材に映りますが、時として意欲のない人と捉えられます。
フォロワーシップの具体的な行動例
フォロワーの種類が分かり、フォロワーシップを向上させるための具体的な方法を知りたい人も多いでしょう。ここでは、フォロワーシップの具体的な行動例について解説します。
自分のできる業務を積極的に引き受ける
優れたフォロワーは、チームの目標達成に向けて自分のスキルや能力に合った仕事を引き受けるのが得意です。単に言われた仕事をこなすだけでなく、自ら課題を見つけ解決策を提案する姿勢を持ちます。
たとえば、営業部門で新規顧客開拓が課題となっている場合「私はSNSマーケティングの強みを活かして新規顧客層へのアプローチをしたいです」と自ら申し出るのがコツです。積極的な態度は、チーム全体の生産性と自身の成長につながります。
リーダーへ積極的に意見を伝える
フォロワーシップを向上させるには、リーダーの方針に対して建設的な意見を伝えるのが大切です。ただし、批判的になるのではなく、目標達成のためのポジティブなアイデアを提案します。
たとえば、新製品の開発会議で「近頃のユーザーにはA機能よりもB機能のほうが求められるようなので、ご検討いただけませんか」と根拠を示しながらの意見がポイントです。明瞭で具体的なコミュニケーションは、リーダーの意思決定の質を高めます。
リーダーの指示をチームに浸透させる
フォロワーシップを高めるには、リーダーの指示や方針をチーム全体に分かりやすく伝えられるようになりましょう。情報の内容を伝達するだけでなく、意図や背景も含めて説明するとチームメンバーの理解を深められます。
たとえば、新しい業務指示があった場合「効率化が目的で、作業時間の20%カットが期待されます」と、背景と導入の効果を説明するのがポイントです。新しい取り組みの意義をメンバーに伝えると、ベネフィットがあるなら協力しようという気持ちになります。
フォロワーシップを育成する際のポイント
リーダーが具体的にフォロワーシップに取り組む際、何に注意すべきか気になるところです。ここでは、フォロワーシップを育てるためのポイントを解説します。
リーダーの許容限界を理解してもらう
ビジネス環境は複雑で変化が速いため、リーダーだけですべての正解を出すのは難しくなっています。フォロワーシップを育むには、メンバーがリーダーへのサポートの必要性を認識するのが大切です。
たとえば、リーダーに疲れが見えるときに「この件は私が調べますので明日ご確認ください」と提案すると負担が軽くなります。リーダーへの理解が深まれば、チーム全体で問題解決に取り組む文化が育つでしょう。
自分の意見に自信を持ってもらう
フォロワーシップの育成には、メンバーが自分の考えや意見に自信を持つことが必要です。意見を何でも言えばいいというわけではなく、根拠に基づいた発言が求められます。
たとえば「私は○○と考えます。なぜなら△△というデータがあり、□□の事例からも有効だと判断できるからです」といった、論理的な説明です。組織内でロジカルなコミュニケーションが活発になると、よりよい意思決定につながります。
積極的なコミュニケーションを図る
フォロワーシップの育成には、リーダーとメンバーの間での積極的なコミュニケーションが求められます。ただ情報をやり取りするのではなく、互いの考えや感情を共有し信頼関係を築くプロセスが必要です。
たとえば、定期的な1on1ミーティングやチーム全体でのオープンな議論の場を設けると、互いの内なる価値観が見えます。普段は口にしないことをあえて話すようにすれば、相互理解が深まり、より強固なチームワークが生まれるでしょう。
他者のニーズを常に意識してもらう
フォロワーシップを発揮するには、自分の役割を果たすだけでなくほかのメンバーへのフォローも必要です。組織全体の目標達成に向けて、自分の行動がどのような影響を与えるかを考える練習になるからです。
たとえば、営業部門のメンバーが製品開発チームに対し「顧客からこんな要望がありますが、開発に反映できますか?」と提案するように、部門を超えた協力姿勢を持ちます。業務はチーム戦であるとの意識が高まれば、より質の高い問題解決が可能です。
適切な研修を実施する
フォロワーシップの育成には、意識改革にプラスして研修プログラムの実施も効果的です。フォロワーシップの重要性や実践方法を学ぶ研修に参加すれば、メンバーは体で協力体制を習得できます。
たとえば、ロールプレイングでリーダー役を演じたり、ケーススタディで組織課題に取り組む演習を行えます。理論と実践で学べば、フォロワーシップスキルのさらなる向上が期待できるでしょう。
フォロワーシップを自社の組織開発に活用しよう
フォロワーシップは、組織の生産性向上とメンバー個人の成長に欠かせない概念です。組織に取り入れることで、リーダーとメンバー間の信頼関係が深まりチームの協力体制が生まれます。
フォロワーシップを自社に活用し、活気のある職場を目指しましょう。
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