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MBO(目標管理制度)とは?OKRとの違い、共通点、導入事例を紹介

更新日:2024年05月15日

公開日:2024年05月15日

MBOとOKRは、企業の目標管理の手法として用いられる代表的な方法です。MBOとOKRでは目的や運用方法が異なりますが、どのような違いがあるかわからず導入を迷う方もいるのではないでしょうか。

この記事では、MBOとOKRとの違いや共通点、MBOのメリット・デメリット、選ぶ際のポイントについて解説しています。MBOを導入している企業の事例なども紹介しますので、自社に合った目標管理制度を選びましょう。

MBOとは?

MBO(Management by Objectives)とは「目標による管理」を意味する言葉で、企業などで用いられる目標管理制度の一つです。従業員がそれぞれの目標を自ら設定し、セルフマネジメントによって達成を目指すという管理手法です。

企業側は目標に対する達成度を基準にして人事評価や業務管理などを行います。MBOの目的は、企業の目標達成とともに従業員の自主性を引き出すことです。従業員がセルフマネジメントを行うことで、モチベーションを引き出しつつ成長の促進が期待できます。

目標達成度に応じて評価されるため、従業員の納得感を得られやすく、わかりやすい人事評価ができるのも特徴です。

MBOとOKRの違い

MBOとともに目標管理に活用される手法にOKRがあります。OKR(Objectives and Key Results)は、目標管理によりチームのあり方を変化させることで企業の目標達成につなげる仕組みです。企業の目標を達成するために必要な結果を設定し、そのための業務や役割を各部署やチームに割り振ります。

MBOとOKRの違いを一覧で表すと以下のようになります。

MBOOKR
目的個人の自主性を引き出すチームや組織を成長させる
計測方法組織により異なる定量的・定性的に計測する
目標設定の期間6ヶ月~1年に1回程度1ヶ月~3ヶ月に1回程度
目標の達成度100%60~70%
目標の共有範囲部署内(上司と部下)※限られている組織全体

それぞれの項目については以下で説明していきます。

目的

MBOとOKRはどちらも目標を管理するための方法ですが、目的に違いがあります。MBOは目標管理のセルフマネジメントによって個人の自主性を引き出し、成長によって会社の目標に貢献することが目的です。MBOを人事評価の指標として活用し、目標達成度を報酬に反映させる企業も多くなっています。

それに対してOKRは、目標管理によるチームや組織の成長に重きを置いている点に違いがあります。企業の業績を伸ばすための大きな目標を設定するため、達成できない可能性もあり、個人の報酬と連動することはありません。

計測方法

MBOとOKRでは、目標の設定および達成方法が定性的か定量的かという点において違いがあります。MBOでは定性的、定量的という決まりはなく、組織により異なるのが一般的です。ただし、定性的な評価を行う場合は上司の主観が入る可能性もあるのが難点です。

一方、OKRは目標の設定も達成方法も定量的になります。商品の販売数やリピート率など具体的な数字を用いて目標を設定し、SMARTの法則にもとづき明確で客観的に評価されます。評価をもとに短期間で目標が変更になる点もMBOとの違いといえるでしょう。

目標設定の期間

MBOでは6ヶ月〜12ヶ月を目安に目標設定を行うのが一般的です。社員のノルマ達成の意味合いを持っており、長期的な観点で評価を行います。設定した目標に対し、到達度や結果、行動などを半年ごと、または期末に評価する企業が多いようです。

それに対して、OKRでは目標に対する進捗度を頻繁に確認するため1ヶ月〜3ヶ月の短期間で評価を行います。比較的短い期間で目標や方向性を見直し、会社や社会の変化に対応するなど、現状に合った柔軟な目標設定が可能です。

目標の達成度

MBOとOKRではその目的の違いから、求められる目標の達成度にも違いがあります。MBOの場合は、組織の目標にリンクした達成可能な範囲内で個人目標を設定するため、100%の達成することが求められます。セルフマネジメントにより自主性を引き出すことが目的のため、到達できないような高い目標は必要とされません。

それに対し、OKRでは組織の成長を目的としているため、あえて難易度の高い目標が設定されます。それにより社員のチャレンジ精神を引き出し、大きな業績を上げることでチームの成長を促進することがねらいです。

そのため目標の達成度も60%〜70%程度となるのが一般的です。達成度がそれより高い場合は、目標が低かったと受け取られる可能性があります。

目標の共有範囲

MBOとOKRでは目標の共有範囲も異なります。MBOの場合、従業員一人ひとり、あるいはチームごとに目標が設定されます。目標設定は個人的なものですので、共有するのも本人と上司、もしくは部署・チーム内のみなど限定的であり、非公開が基本です。

それに対し、OKRは組織全体でオープンに共有することが前提となります。目標達成に関する情報を全体で共有することで、同じ方向に注力しやすくなる効果があるからです。オフィスの見やすい場所に目標を掲示するなど、社員が常に意識しやすいように工夫されることもあります。

MBOとOKRに共通する点

MBOとOKRには共通する課題があります。これらの課題を理解し対処を考えておくと、MBO成功につなげることができるでしょう。

目標管理と人事評価は慎重に結びつける

MBOもOKRも最大の目標は企業の目標達成や業績の向上です。これらの目標管理は人事評価に結びつけられることも多いですが、リスクを伴うため慎重に行う必要があります。

人事評価を良くするためにわざと低い目標を設定したり、評価が納得できずモチベーションが下がったりする恐れがあるからです。このような事態を防ぐためには、達成度をそのまま直結させないような、評価の仕組みが求められます。

対策には、業績の重要度や難易度によって評価に差をつけるなどが考えられます。目標達成に向けて取り組む姿勢や、到達するまでのプロセスを評価に加えることもよいでしょう。

また、OKRは人事評価には結びつかないことが大半ですが、反映せざるを得ない場合もあるかもしれません。OKRは達成度が低くなりがちですので、人事評価に響かないように、どの程度反映させるかあらかじめ設定しておくことも大切です。

コミュニケーションをしっかりとる

MBOもOKRも上司(目標管理者)と部下のコミュニケーションが欠かせません。定期的な面談をして目標達成のための相談やサポートを行ったり、進捗状況の確認をしたりして、放任しないようにしましょう。

普段から積極的に声をかけるなどコミュニケーションを取って信頼関係を深めることが重要です。信頼関係ができていると、指導を受け入れやすくなり、モチベーション維持や評価への不満防止につながります。

また、定期的な面談やコミュニケーションは、課題や方向性のズレを発見するのにも効果的です。目標の修正や課題の早期発見などにより、目標達成に向けて適切にサポートしていきましょう。

MBOのメリット

ここからはMBOのメリットを解説していきます。メリットを理解することで、よりMBOに取り組みやすくなるでしょう。

従業員の自己管理能力が向上する

MBOの目標はあくまでも従業員自らが立てることが基本です。自分で立てた目標に向かって達成するための方法や、小さな目標ごとの到達期間の設定なども自ら考えることが求められます。そうして自分で立てた目標に対しては、課題を与えられた場合よりも責任感を持って取り組めるものです。

目標に対する責任感を持って取り組み、ゴールに向かって行動を起こす自己管理能力が自然と身につくのがMBOのメリットです。これによりビジネスにおけるスケジュール管理やタスクマネジメントなどの各種管理能力の向上も期待できます。

人材育成につながる

MBOでは従業員自ら目標を設定し、達成するために課題を分析したり、必要なスキルを身につけるようになります。主体的にスキルアップしたり、上司のアドバイスを受けながら能力を高めたりして、成長していくことが可能です。

主体的に目標達成を目指すため、学ぶことも苦にならず、効率良くスキルを身につけることができるでしょう。目標を達成して企業の業績に貢献しつつ、身につけたスキルで活躍の場を広げていけるため、効果的な人材育成につながります。

従業員のモチベーションが向上する

MBOでは自己目標の達成が従業員の自発性を促進するため、モチベーションの向上につながります。目標達成することがそのまま評価や報酬につながることで、熱意を持って取り組めるようになります。自分で計画を立てられるため、業務の優先順位による調節も容易になり、ストレスなく進められるでしょう。

会社から評価され認められることにより、職場に貢献している実感を得られ、自尊心を満足させることもできます。会社の目標に沿った適切な自己目標を設定することができれば、今後のキャリアデザインに活かすことも可能です。MBOを通してさまざまな面から従業員のモチベーションを向上させることができるでしょう。

MBOのデメリット

MBOにはメリットだけでなく、デメリットもあります。デメリットを理解し対策を立てることで、MBOが効果的に実施できます。

職種によっては客観性のある目標を設定しにくい

人事や総務のように成果を数値化しにくい職種では、目標が立てにくいのがデメリットです。MBOに必要とされる客観性のある目標を設定することが難しいからです。目標達成の評価も曖昧にならざるを得ないため、人事評価もしにくくなります。

そのため上司の主観による評価を免れない可能性があり、それに対する不満が生まれることもあり得ます。モチベーションや信頼関係に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。成果の数値化が難しい職種や部門であってもできるだけ定量的に評価できる目標設定が求められます。

目標を意識しすぎることがある

MBOは人事評価に影響を与えるため、目標達成を意識しすぎて簡単に到達できる低レベルな目標を設定することがあります。また、逆に高すぎる目標を設定して成果が伴わず、実力よりも低評価を受ける場合もあるでしょう。

個人の成果ばかりを気にするあまり、職場での協調性が低くなる恐れもあり、そうなるとチームワークの乱れも問題となります。本人のスキルレベルや現状に合わせた重要度や難易度の目標を立てられるように、管理者がサポートすることが重要です。

管理者の負担が増える

MBOでは従業員自らが目標を設定しますが、サポートや評価は上司にあたる管理職が行います。従業員一人ひとりの進捗状況の管理や面談、フィードバック・評価など、管理者が行うことは数多くあります。

管理職は通常業務に加えて目標管理業務を行うことになるため、業務の負荷が増大するでしょう。評価制度は、管理職の長時間労働という慢性的な問題を増長させる一つの要因ともいわれています。MBOを導入する際には、管理者の業務内容や業務量を調整することも必要です。

MBOとOKRどちらを選ぶべき?

会社で目標管理制度を導入する際に、MBOとOKRのどちらを選ぶべきかは、会社の方向性や目的によって異なります。

目標の達成度によって従業員の評価や報酬に反映させたい場合はMBOの方が向いています。会社としてより高い目標の達成や業績を伸ばすために、個人レベルまで細分化した取り組みを目指したいならOKRが良いでしょう。

目標管理によってどのような結果を望むのか、重視する点を見極めて自社にマッチした方法を選ぶことが肝心です。また、MBOとOKRは併用することも可能です。両者にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、両方とも導入することでデメリットを補い合うことが期待できるでしょう。

MBOを導入している企業の事例

最後にMBOを導入している企業の事例を紹介します。MBOのデメリットに対し、その企業ならではの方法で解決策を見出し運用に成功しています。ぜひMBO導入の参考にしてみてください。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社では、四半期に一度という短めのサイクルでMBOを導入しています。導入当初はMBOのデメリットである目標の意識しすぎによる弊害が大きく、問題になりました。会社のスローガンとの方向性とも大きくズレが生じたため、改善に取り組みます。

そこから評価に対する見直しを行い、自社ならではの評価制度を構築しました。過程や行動に対する「バリュー評価」と成果に対する「プロフィット評価」を明確に区別した、MBO制度に改良しています。

これにより、評価と報酬をうまく紐づけることが可能になり、MBOのメリットを活かした運用ができるようになっています。

グリー株式会社

グリー株式会社では目標達成基準の明確化や、全社員との1on1面談の実施などを行い、アレンジしたMBOを運用しています。目標達成と人事評価が緩やかに連携することを意識している点がポイントです。

成果だけでなく、達成するためにどのような行動を起こすかという定性的な面も把握しフォローできるようになっています。これにより社員は個性や経験を活かした目標設定が可能になり、モチベーション向上にも貢献しています。

個人面談もMBO成功に大きな役割を果たしているようです。多くの社員が1on1に満足しているというアンケート結果があり、個人の成長と組織の成長を紐づけることに成功しています。

MBOとOKRを理解して選択し、企業や個人の成長につなげよう

MBOとOKRはどちらも企業の目標管理に活用され、人事評価や従業員の自主性向上、企業の目標達成に効果がある手法です。両者は導入の目的や目標設定の仕方、評価方法などに違いがあるため、導入目的や会社の方向性に合ったものを選ぶことが肝心です。

メリット・デメリットを理解して、自社ならではの方法を検討し取り組むことで、運用成功の可能性が高まるでしょう。目標管理制度をうまく活用し、社員の成長や企業の業績向上につなげていきましょう。

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執筆者

ACES Meet 編集部

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