不動産営業の人材を育成・OJTする方法5選|成功させるポイントも解説
更新日:2024年05月17日
公開日:2024年05月17日
不動産業で業績を伸ばしていくためには、優秀な営業社員が不可欠です。しかし、不動産の知識や法律などさまざまな問題があり、不動産営業の人材育成に悩む会社も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産営業に求められることや人材育成の課題、課題の解決方法などについて解説しています。人材育成を成功させるポイントについても紹介していますので、ぜひ自社の教育の参考にしてみてください。
目次
不動産営業担当者に求められること
不動産営業は、変化する市場に対応し続ける必要があるため、専門知識と高度なコミュニケーション能力が必要です。ここでは不動産営業に求められる能力について解説していきます。
不動産の専門知識
不動産営業として働くためには、不動産の基本的な知識習得が不可欠です。物件の種類や特徴、市場価値など幅広い不動産知識の習得が必要になります。物件は一般住宅からオフィスビル、商業施設などさまざまであり、それぞれの特徴や市場価値を理解していなければなりません。
また、物件による法規制の知識や取引の際に必要な法律、税制なども熟知している必要があります。このような専門知識を保有していることで、顧客に最適なプランが提供でき、売上増加につながります。何にでも答えてくれる頼もしい営業社員として顧客からの信頼も得られるでしょう。
専門知識を習得するために、宅地建物取引士など不動産関連の資格取得も大いに役立ちます。
コミュニケーション能力
不動産営業は、顧客がどのような物件を求めているのかニーズを把握する必要があります。
顧客が口にする要望や情報だけでは、本当に欲しいものは何なのかわからないことが多々あるでしょう。ニーズを正確に把握するためには、顧客と上手にコミュニケーションを取って信頼関係を築くことが重要です。
顧客の本音を聞き出すためには聞き上手になることや、相手の話を理解し共感する能力も必要です。適切な提案を顧客に分かりやすく説明するための説明力も求められます。不動産営業に効果的なコミュニケーション能力を養うためには、実地に即した教育が必要です。
不動産営業の人材育成における課題
営業社員の成績を向上させるには人材育成が重要ですが、不動産業には業界ならではの課題があります。課題を理解することで対策を考えることができるようになるでしょう。
営業のノウハウを共有しにくい
不動産営業では、顧客に営業担当者が固定化され、業務が属人化してしまいやすいという特徴があります。そのため、営業戦略や交渉テクニックなどのノウハウが社内で共有(蓄積)されにくいのが問題です。
営業力のある上司や先輩のスキル・ノウハウを社内で共有するためのシステムがなく、人材育成にも活用できないことが大半です。不動産業界はDX化への対応が遅れている分野の一つであり、業務を効率化する体制ができていない企業が多くなっています。
新人の営業スキルを伸ばすためには、スキルやノウハウを共有し提供するためのシステム構築が必要です。
人材育成に必要なリソースがない
人材育成には指導するためのリソースが必要ですが、多くの会社でその人員が不足しています。不動産営業職は顧客対応や現地案内、商談、契約に関わる作業など業務内容が多岐に渡ります。
そのため自分の業務に忙殺され、新人の研修やフィードバックなどの育成に充てる時間が確保できないことが問題です。指導に力を入れたい気持ちがあったとしても、自分の成績向上も同時に求められるため、大きな業務負荷がかかってしまいます。
人材育成に必要なリソースを確保するためには、業務を効率化し、作業を軽減する対策が求められます。
人材育成の目標設定や振り返りができていない
不動産営業では顧客との関係構築が売上につながることもあり、人材育成の成果を感じられるまでに時間がかかるのが一般的です。そのため、人材育成の目標達成に対する分析や振り返りがおろそかになることがあります。
育成の効果が可視化されにくいため、育成方法が適切であるかもわかりづらく、改善につなげることが難しい点もあります。コミュニケーションスキルやプレゼンテーション能力の獲得具合など、数字に表れない成長を評価する方法も必要です。
現場だけに任せるのではなく、会社側からの具体的な目標設定や、評価基準の仕組み作りなどの取り組みが求められます。
不動産営業の人材育成における課題を解決する方法
不動産営業の人材育成の課題を解決するためには、以下のような方法が考えられます。人材育成の観点だけにとらわれず、業務全体の効率化が鍵になるでしょう。
営業プロセスを見直す
人材育成のためのリソース不足に対しては、営業プロセスの見直しを実施し対応しましょう。仕事内容を洗い出し、業務フローを改善することで効率を上げるようにすると効果的です。部署や個人で洗い出した業務内容や流れについて、会社側も含めて改善の検討をすることが必要です。
改善策にはインサイドセールスを導入して工数を削減したり、ツールを用いて自動化したりする方法が考えられます。外注できる業務をアウトソーシングする方法もあります。業務プロセスを見直して人員に余裕ができれば、人材育成のためのリソース確保ができるようになるでしょう。
システム・ツールを導入する
営業スキルの属人化対策には、営業を支援してくれるシステムやツールの導入が有効です。システムやツールを導入すると、対応履歴や作成資料などのデータを一元管理できるようになり、業務の効率化にも役立ちます。
営業プロセスを可視化できるようになるため、優秀な営業社員のスキルやノウハウを蓄積して人材育成に活かすことができます。指導者の能力に依存しないで育成できるため、新入社員のスキルの平準化が可能です。
既存社員のスキルアップにも利用できるため、全社的な社員の成長にもつなげられます。システムを使うことで、評価が難しい育成の効果測定ができるのも良い点です。
不動産営業の人材育成方法5選
ここでは不動産営業の人材育成に効果的な育成方法を5つ紹介します。新入社員の成長だけでなく、先輩社員のスキルアップにも活用して、社員の能力の底上げにも役立てましょう。
ロールプレイングを行う
ロールプレイングは営業社員の育成方法として最も一般的に行われている手法です。さまざまな物件や顧客、状況を想定して、営業トークの疑似体験を行います。実際の対応地域や取り扱いの多い物件などを設定すると、商談のリハーサルとしても活用可能です。
ロールプレイングでは先輩のトークや対応作法を学べ、臨機応変な対応力が身につくようになります。新入社員だけでなく既存社員にも定期的にロールプレイングを行うことで、不動産営業のスキルが着実に向上するでしょう。
集合研修を行う
集合研修は大人数で行うことができるので、育成時間を短縮できるメリットがあります。主に基本的なビジネススキル、物件の知識などの習得に活用可能です。不動産に関わる法律などが変更されたときに、知識や理解を深めるためにも利用できます。
新人の育成だけでなく、既存社員を対象にしたグループワークに利用すると、社内コミュニケーションの活性化に役立ちます。集合で行う研修の年間計画を立てるようにし、担当者を前もって決めておくとスムーズに実現できるでしょう。
ただし、外部から講師を呼ぶ場合は費用がかかるのがデメリットです。制度や法に関する分野などの講演が無料で受けられる国や市の出前講座を利用すると、コストが軽減できます。
OJT制度を導入する
OJTは部署の上司や先輩が実際の業務を通して指導を行う育成方法です。言葉だけでは分かりづらい営業のノウハウや、実践的な知識を学べるのが良い点です。マンツーマンで指導するため疑問があるとすぐに聞けますし、相談しやすいというメリットもあります。
不動産営業では、専門用語や特殊な状況設定などに対応するため、基本的な知識は前もって学ぶことが必要です。OJTと座学を組み合わせて、学んだ知識や能力を定着させるアウトプットの場として利用すると効果的です。
ただし、OJTには指導者の持つスキルによって教育に差が出るというデメリットがあります。評価する際にはその点も含めて判断することが求められます。
参考:OJT(On-the-Job Training)とは?企業と社員のメリット、デメリットを解説
ブラザー・シスター制度を取り入れる
年齢の近い先輩社員をブラザー(兄)・シスター(姉)に見立てて、新入社員の指導を行う制度です。この制度では、業務に関することだけでなく、人間関係やキャリアに関することにも対応します。
1on1で担当し、信頼関係を築いて悩みや不安を相談しやすい環境を作ることで、新入社員の定着化につなげることが可能です。また、指導する社員も育成を通じて成長していくことが期待できます。指導役として身につけた指導力やマネジメントスキルは、今後のキャリアアップにも役立てることができるでしょう。
この制度は、新入社員だけでなく既存社員を含めた成長が見込め、全社的な離職率の低下にも貢献します。
e-ラーニングを利用する
e-ラーニングは、インターネットを活用して知識やスキルを学習する方法です。時間や場所を問わず学べるため柔軟性が高く、空き時間でも学習できるので気軽に取り組めます。幅広い学習内容が準備されているので、個人の能力に合わせたプログラムを選べるのもメリットです。
無料のプログラムも多いため費用が安く済むのも良い点です。集合研修やOJTなどと組み合わせることで、実践的なスキル習得に効果があります。ただし、利用時間や回数は個人の判断に委ねるため、個人差があり、目的意識次第で知識やスキル習得にも差が出やすいといえます。
不動産営業の人材育成を成功させるポイント
不動産営業の人材育成を成功させるためにはポイントを押さえることが肝心です。実力ある営業社員になってもらうために、有効な育成計画を作成し、会社全体で取り組む姿勢が必要になります。
経営戦略や育成計画に基づき実施する
効果的に人材を育成するためには、企業の経営戦略や人材育成計画に基づいた研修内容の設定が不可欠です。企業の経営戦略を盛り込むことで、現場に必要なスキルの学習だけでなく、会社が求める人材を育てることにつながります。
必要な人材を育てるためにはどのような教育をすべきか、部署、経営層、人事部が一緒になって育成内容を決めることが大切です。企業の方向性や戦略に合った教育を受けることで、営業社員は自分の役割がわかり、期待を実感することができるようになります。
社内事例に沿ったケーススタディを入れる
育成研修では社内で実際にあった事例や業務に沿ったケーススタディを入れると効果的です。不動産業には新築戸建ての販売から、賃貸物件の仲介、都市開発などさまざまな事業があります。その中から、自社の事業に沿った内容を選び育成に取り入れることが大切です。
研修内容が職場や普段の業務に結びつくことで、イメージがわきやすくなり理解が深まります。実務に結びつかない教育では、研修をどう生かせばよいかわからず、育成時間やコストの無駄になる恐れがあります。
育成を受ける明確な目的を持ってもらう
育成のプログラムを実施しても、受ける側の意欲が低いと十分な効果が見込めません。指導を受ける新入社員のモチベーションを高めるためには「何のために学ぶのか」という意識を持ってもらうことが重要になります。
そのためには前もって研修を受ける必要性やメリットを具体的に伝えることが必要です。研修を受けることでスキルアップや成長につながることがわかるとモチベーションが上がりやすくなるでしょう。
モチベーションを高める制度を取り入れる
育成の成果を正確に評価し、それによって報酬やキャリアアップにつなげるような仕組み作りも大切です。報酬などのわかりやすい評価があると、モチベーションを高めるのに効果的です。
売上や成約件数、顧客の満足度など、具体的な評価基準を設定し、報酬につなげるようにしましょう。また、チームで連携して業務に取り組み、達成したプロジェクトを評価する仕組みを作るのも有効です。それによりチーム全員が目標達成に向けて努力でき、チームワークが促されます。
チームワークを促進することは情報共有や顧客への迅速な対応にも効果があります。
不動産営業の人材育成の課題を克服し、業績向上につなげよう
不動産営業の人材育成にはいくつか課題がありますが、解決する方法を実施することで業務の効率化も可能になります。部署に任せきりにせず、システムを導入するなど会社や人事部が一体となって人材育成に取り組む姿勢が重要です。
不動産営業の人材育成に効果のある方法をうまく取り入れると、新入社員だけでなく既存社員の成長にもつながります。継続的な学びと実践によって実力ある不動産営業社員を育成し、会社の業績向上を目指しましょう。
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