自分事化とは?従業員に仕事を自分事化してもらうメリットやポイントも解説
更新日:2024年07月04日
公開日:2024年07月03日
「従業員が自主的に動いてくれない」「指示をしても人ごとのように聞き流す」といった悩みを抱える担当者は少なくありません。従業員が企業で起こっていることを自分事のように捉えられるような工夫を行うと、チームの生産性向上につながります。
この記事では、従業員の主体性を促す「自分事化」について解説します。
目次
自分事化とは?
自分事化とは、仕事を他人事ではなく自分の身に起こっていることとして捉え、主体的に取り組む姿勢を指します。与えられた業務をこなすだけでなく、組織の課題へ積極的に関わる姿を意味する言葉です。
仕事を自分事として考えられる従業員は、指示を待つのではなく自ら考えて働きます。自分事化した従業員が増えると、組織の成果への意識が高まり、競争力を維持できるようになります。
自分事化が重要である理由
自分事化は、市場での適応力や競争力を高める一つの要因です。従業員が仕事を自分事として捉えられるようになると、問題解決のために工夫を重ねるようになります。
創意工夫が生まれやすい環境は、業務効率が高まるだけでなく新しいアイデアの創出も活発です。結果として組織における生産性が向上し、急速に変化する市場環境への適応力も高まります。
従業員が仕事を「自分事化」できない理由とは?
従業員が仕事を「自分事化」できない背景には、理由があります。ここでは、従業員が自分事化ができない理由を、個人と組織に焦点を当てて説明します。
仕事に対する目的や目標が定まっていない
仕事に対する目的や目標が定まっていない状況では、従業員の自分事化は進みません。明確な方向性がない中で働くと、自分の仕事が全体にどのような影響を及ぼすのかがわからないためです。
組織全体の目標と個人の目標のつながりが見えないと、当事者意識を持ちにくくなります。目的や目標が明確でないうちは、従業員が仕事を自分事として捉えるのは難しいでしょう。
変化やイノベーションを避ける組織になっている
変化やイノベーションを避ける組織文化は、従業員の自分事化を妨げます。変化を避ける風土がある組織では、新しいアイデアが評価されないだけでなく、リスクとして捉えられがちです。
チャレンジをリスクと捉えられてしまう環境では、従業員は現状維持を選ぶしかありません。もともと従業員が持っている主体性の抑圧が、自分事化を阻む要因となっています。
他責思考になっている
会社で起こることを他人のせいにしている限り、自分事化は難しいものです。仕事をする上では、他者が関わっていることでも、自分で解決しなければならない場面があります。
たとえば、締め切りに間に合わず「資料をもらうのが遅かったから」と言い訳したり、ミスが見つかったときに「誰も教えてくれなかった」と責任転嫁したりする状況です。他人のせいにする考え方をなくし、自分の役割を果たすことが自分事化を進める上で重要となります。
自分の業務のことで精一杯になっている
自分の仕事で手いっぱいになると、仕事の自分事化が難しくなります。毎日の業務をこなすのに精一杯で余裕がない状態では、全体を見渡す視点を持てません。
自分の担当業務だけに集中しすぎると、会社全体の目標や他部署との関わりを意識しにくくなります。言われた業務をこなすだけの状態になり、自分のタスク以外に対応する柔軟性が薄れてしまいます。
楽をしたい気持ちが強い
楽をしたい気持ちが強くなると、自分事化が難しくなるでしょう。とくに、正社員は月々の給与が固定されているため、仕事の成果に関わらず一定の報酬が得られる安心感があります。
新しい課題を「誰かがやるだろう」と見過ごしたり、改善の余地がある業務でも「今のやり方で十分」と変化を避けたりしがちです。楽をしたい気持ちは、仕事への責任感を弱め、達成感を得られにくくします。
「自分事化」できないことによる企業への影響
仕事を自分事化できないことによる弊害は、競争力や生産性の低下だけではありません。ほかにも、以下のような影響が出る可能性があります。
- 従業員のモチベーション低下
- 組織文化の悪化
- 顧客満足度の低下
新しいアイデアが受け入れられない環境では、従業員は達成感や成長を感じられません。働くモチベーションが下がり、最悪の場合、離職者が増える可能性があります。
さらに、仕事に消極的な雰囲気は、これから入社を予定する候補者や新入社員にも悪影響を与えかねません。顧客対応においても、積極的な問題解決や柔軟な対応が難しくなり、サービスの質が低下します。
自分事化できない雰囲気の企業は、従業員だけでなく入社予定の候補者や顧客にも影響が及ぶでしょう。
従業員に仕事を「自分事化」してもらうメリット
従業員が仕事を自分事化することで、企業には多くのメリットがもたらされます。ここでは、従業員の自分事化が企業にもたらすメリットを4つ紹介します。
従業員の成長スピードが上がる
従業員が仕事を自分事化すると、個人の成長スピードがアップします。自分事化により仕事に主体的に取り組むようになり、より多くの知識を吸収できるからです。
たとえば、効率的な仕事の進め方や、他部署との折衷について自ら考えるようになります。失敗を恐れずにチャレンジすることで、実践的なスキルが身につきやすくなるでしょう。
仕事に対して能動的に動いてもらえるようになる
自分事化が進むと、社員は指示を待たずに自ら考えて動くようになります。自分の役割の重要性に気づき「待っていては間に合わない」「自分が動かないと全体の進行が遅れる」といった自発的な意識が芽生えるからです。
たとえば、仕事の改善案やトラブル発生時の解決策を積極的に出すようになります。前向きな姿勢がチーム全体の雰囲気をよくし、新しいアイデアが生まれやすい職場環境になるでしょう。
モチベーションの向上が期待できる
仕事を自分事化すると、従業員のモチベーションがアップします。自分で考えて行動することで、仕事の成果を自分の力で生み出した実感が強くなるからです。
仕事を自分事化した従業員は、未知の分野に挑戦したり、仕事の質を高めたりとチャレンジ精神が生まれます。一人ひとりが活発に働く職場になり、会社全体の雰囲気もよくなるでしょう。
責任感の向上が期待できる
仕事を自分事化すると「言われたことをこなす姿勢」から「自分で考えて行動する」姿勢へと変化します。自分で決めたことの影響は自身に返ってくるとの意識から、責任感が生まれるためです。
たとえば、締め切りを自分で管理したり、ミスを素直に認めて改善策を考えたりするようになります。自分の仕事が他の人にどう影響するかを考えて行動するため、チーム全体の効率も上がるでしょう。
従業員に仕事を「自分事化」してもらうためのポイント
従業員が仕事を自分事として捉えられるようにするには「該当部署だけ」「上司だけ」ではなく、会社全体で取り組む必要があります。ここでは、上司や担当者が取り入れるべき、自分事化のポイントについて解説します。
上司が行動で示す
社員の自分事化を進めるには、上司自身がお手本となるのが近道です。自分事化してほしい部分は言葉で伝えるだけで終わらず、実際の行動で示すのが効果的です。
積極的な行動を示すと同時に、失敗しても改善策を前向きに考える姿勢を見せるのも大切です。自分の失敗を素直に認め、学んだことを共有すれば主体的にチャレンジする文化を育てられます。
具体的な目的や目標を共有する
従業員の自分事化を促すには、仕事の目的や目標を明確に伝えましょう。なぜその仕事が必要なのか、どんな結果を目指しているのかを具体的に説明します。
たとえば、日々の業務でタスクを振る際に「このレポートは○○のために使われ、△△という判断に役立つよ」といった具合です。目的や目標を共有することで、従業員は自分の仕事の意義を理解して取り組むようになります。
自発的な行動ができる職場環境を整える
社員が自ら考え、行動できる職場づくりも自分事化を進めるポイントとなります。アイデアを自由に出し合える雰囲気や、挑戦を応援する文化作りを行いましょう。
以下は、自発的な行動を生むアイデア例です。
取り組み | 内容 |
---|---|
アイデアの吸い上げ | 業務改善や新サービスの提案を募集するための「アイデアボックス」を設置 |
実現チャレンジ | 月1ミーティングで出たアイデアを、すぐに実行に移す |
失敗OKの方針 | 新しい取り組みにチャレンジした社員を、結果に関わらず表彰する制度を設ける。 |
チャレンジ・オブ・ザ・マンス | 毎月の会議で新しい取り組みにチャレンジした社員を紹介し表彰する。 |
従業員は自分の行動が会社に役立っていると感じ、より積極的に仕事に取り組むようになります。
日頃から従業員とのコミュニケーションを図る
従業員に自分事化してもらうには、日常的なコミュニケーションの強化も重要です。従業員同士が気軽に話せる関係を作ることで、組織全体のエンゲージメントが向上します。
たとえば、週1回の短時間ミーティングや、月1回の交流会を開くのがオススメです。「今週うまくいったこと」「困っていること」などを話し合うことで、チーム全体で問題解決に取り組む雰囲気が生まれます。
常にフィードバックを実施する
従業員の自分事化を進めるには、タイムリーで具体的なフィードバックも大切です。よい点も改善点もその場で伝えるようにすると、従業員は自信を持って次のステップに進めます。
- よい点を伝えるとき:「ここまでの進め方の○○の部分が素晴らしい」
- 改善点を伝えるとき:「○○すればもっとよくなるよ」
よい点を伝えるときは、評価している部分を具体的に伝えて従業員に強みを自覚させるのが大切です。改善点を伝えるときは、できなかったことだけに焦点を当てないように注意しましょう。前向きな表現を心がけることで、モチベーションを保ったまま改善に取り組めます。
「自分事化」を取り入れ組織の活性化につなげよう
自分事化は従業員のモチベーションを高めるとともに、会社の生産性アップにもつながります。自分事化により、従業員一人ひとりが主体的に動き、変化に強い組織づくりが可能です。
自分事化を促すアイデアを取り入れ、企業の活性化につなげましょう。
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