営業活動にAIを活用するメリットは?解決できる営業課題例やAI導入事例も紹介
更新日:2024年10月30日
公開日:2024年10月30日
営業活動の効率化や、成果向上に悩む営業担当者は多いでしょう。AIが搭載されたツールを活用すると、効率的で成果の出る営業活動を実現できます。
本記事では、営業活動の課題を解決するためのAI活用について、メリットや具体的な事例を交えて解説します。
目次
今後の営業活動にAIの活用は必須?
営業の仕事をすべてAIに代替できるわけではないものの、うまく活用すればこれまで以上に成果を上げられる可能性はあります。AIにも人間同様に得意不得意分野があるため、担当者との業務の分担が必要です。
たとえば、AIはデータ分析や反復的なタスクを担当し、人間はクリエイティブな戦略立案やコミュニケーションを担うといった役割分担が考えられます。
AI活用が今よりも浸透すると、AIを使いこなせる企業とそうでない企業の間で成果に差が生まれる可能性があります。今後の営業活動では、AIを上手に活用しながら人間ならではの創造性と組み合わせるといった、より高度なスキルが求められるでしょう。
営業活動にAIを活用するメリットは?
AIを営業活動に取り入れることで効率性や精度が大幅にアップし、営業チーム全体のパフォーマンスを底上げできる可能性があります。
ここでは、営業活動にAIを取り入れるメリットを解説します。
営業活動の効率化につながる
AIにより、営業活動における多くのルーティンタスクを自動化できます。以下は、AIに置き換え可能なルーティンワークの例です。
- リードのスコアリング
- フォローアップメールの自動送信
- 顧客データの分析
上記のようなルーティン業務をAIが処理することで、営業担当者はより戦略的な活動に集中できます。顧客との質の高いコミュニケーションや複雑な商談に時間を割けるため、営業活動の効率がアップします。
データに基づく意思決定ができる
AIは膨大な量のデータをすばやく処理し、リードの行動パターンや市場動向を分析します。営業担当者は、これまでのデータに基づいた正確な意思決定が可能です。
たとえば、顧客の購買傾向や最適なアプローチタイミングを把握し、的確なタイミングで提案を行えます。成約率アップや顧客満足度の改善につながり、営業活動全体のクオリティが向上します。
個別化された顧客アプローチができる
AIは各顧客のこれまでの行動履歴やニーズを分析し、個々に合ったアプローチを提案します。営業担当者は、顧客ごとにパーソナライズされたコミュニケーションが可能です。
たとえば、顧客の興味関心に合わせた商品提案や、過去の対応履歴に基づいたコミュニケーションが可能となります。顧客体験が大幅にアップし、長期的な信頼関係の構築が実現できます。
予測精度が向上する
AIは過去のデータや市場動向を分析し、リードの購買意欲や商談成立の可能性を予測します。営業担当者は、どのリードに優先的にアプローチすべきかの判断が可能です。
限られた時間とリソースをもっとも効果的に配分し、成約率を最大化できます。予測能力は個々の商談だけでなく、営業戦略や企業全体の売上向上にもつながります。
競争力の強化につながる
AIを効果的に活用している企業は、そうでない企業に比べて競争力を強化できます。スムーズかつ正確に市場の変化を捉え、戦略をフレキシブルに調整することが可能です。
たとえば、競合他社の動きや顧客ニーズの変化にリアルタイムで対応し、提案をすばやく行えます。顧客満足度の向上や新規顧客の獲得が促進され、市場での競争力が高まります。
営業活動にAIを活用するデメリットは?
AIの導入により多くのメリットが得られる一方で、課題も存在します。ここでは、営業活動にAIを取り入れる際、考慮すべき点を解説します。
初期導入コストが高い
AIシステムの導入には初期投資が必要なため、企業によってはコストが大きな負担となります。以下は、AIの導入にあたり必要な初期コストです。
- ソフトウェアの購入
- カスタマイズ
- 既存のデータシステムとの統合
- 従業員のトレーニング
ほかにも、AIシステムの保守や更新にも継続的にコストがかかります。業務効率化や売上アップによって投資を回収できるよう、費用対効果の分析が必要です。
データの品質に依存する
AIが正確な予測や提案を行うためには、質の高い大量のデータが必要です。しかし、多くの企業ではデータ不足や誤りがあり、適切に使用できないケースもみられます。
データ品質の問題は、AIの分析結果や予測の精度を低下させる要因です。データのクレンジングや整備が必要となるため、AIの導入には時間と労力がかかることを知っておきましょう。
柔軟性や創造性が欠ける
AIはデータに基づいたパターン認識や予測には優れていますが、人間のような柔軟な思考には限界があります。とくに、予期せぬ状況への対応や顧客との感情的なつながりには、人間の営業担当者のスキルが欠かせません。
AIに依存しすぎると、営業チームの創造性や適応力が低下する可能性があります。AIと人間の得意分野を理解し、バランスよく組み合わせることが必要です。
プライバシーやセキュリティの懸念
AIシステムは大量の顧客データを扱うため、管理体制の強化が重要です。顧客の個人情報や取引履歴などが漏えいした場合、企業の信頼性に深刻な影響を与えます。
また、AIシステム自体がサイバー攻撃の標的となる可能性もあります。強固なセキュリティ対策の実施や、従業員へのデータ保護に関する教育が必要です。
AIによって解決できる具体的な営業課題例は?
AIの導入により、営業活動におけるさまざまな課題を解決できる可能性があります。ここでは、AIによって解決可能な課題について詳しくみていきましょう。
課題1:無駄なリードに時間をかけてしまう
成約見込みが低いリードに時間を費やしてしまい、効率的な営業活動ができないケースは少なくありません。AIを活用すると、膨大な顧客データや行動履歴を分析しリードの求めていることが分かります。
どのリードが成約につながりやすいかを高い精度で予測するため、成約率の高い相手へのアプローチが可能です。営業活動の効率アップやリソースの最適配分により、全体的な成約率の向上も期待できます。
課題2:雑務が忙しく成約に集中できない
データ入力やフォローアップメールの送信、スケジュール管理などの雑務に追われ、本来の営業活動に集中できない担当者も多いでしょう。AIを活用すると、反復的なタスクを自動化できます。
たとえば、AIが顧客とのやり取りを分析し、適切なタイミングで自動的にフォローアップメールを送信することが可能です。営業担当者は顧客との直接的なコミュニケーションに集中でき、全体の生産性アップを図れます。
課題3:商談機会を逃してしまう
顧客に適切なタイミングでアプローチできず、購買のチャンスを逃してしまうという担当者も少なくありません。AIなら顧客の購買行動データや過去のやり取りを分析し、アプローチに最適なタイミングを予測できます。
顧客のウェブサイト閲覧履歴やメールのオープン率、問い合わせ頻度などを総合的に分析し、購買意欲が高まっているタイミングを特定します。営業担当者はもっとも効果的なタイミングで顧客にアプローチし、商談成立の確率を高めることが可能です。
課題4:顧客の期待に応えられず、商談が進展しない
顧客ごとの細かいニーズに対応できず、画一的な提案しかできないことに悩む担当者もいるでしょう。AIにより過去の購買履歴や問い合わせ内容を分析すれば、個々の顧客にパーソナライズされた提案ができます。
たとえば、顧客の業種や規模にマッチした製品の組み合わせをしたり、好みに合わせたコミュニケーションスタイルを提示したりします。個々に合った提案が実現でき、顧客満足度の向上と成約率の改善が可能です。
課題5:個々の担当者に対する改善策を立てられない
チームメンバーの活動状況を把握できず、個々に合った指導ができないことに悩むリーダーは少なくありません。AIを活用すれば、営業チームのパフォーマンスをリアルタイムで可視化・分析できます。
AIは、各営業担当者の以下のようなデータを自動的に収集し、分析します。
- 商談件数
- 成約率
- 顧客対応時間
営業担当者ごとの強みや改善ポイントをスムーズに把握でき、データに基づいた具体的なフィードバックが可能です。
課題6:顧客のニーズが分からず機会損失する
顧客の潜在的なニーズが分からず、さらなる購買の機会を逃している担当者も多いと考えられます。AIを活用すると、過去の取引データや顧客の行動パターンを分析し、将来の購買行動の予測が可能です。
AIは顧客の購入履歴や問い合わせ内容などを総合的に分析し、追加製品の提案や契約更新のタイミングを提示します。営業担当者は顧客のニーズを先回りしてアプローチできるため、効率的に売上を伸ばせます。
課題7:問い合わせ対応に時間を取られる
顧客からの問い合わせ対応に追われ、戦略的な営業活動に十分な時間を割けない担当者も多いでしょう。AIチャットボットや音声アシスタントを導入すれば、顧客からの初期段階の問い合わせにスムーズに対応できます。
AIシステムなら、よくある質問への回答や簡単な技術サポートなどを24時間365日行うことが可能です。営業担当者が商談に集中できるだけでなく、問い合わせデータを顧客ニーズの把握にも役立てられます。
営業活動でのAI活用に成功した企業事例
AIを活用した営業活動の成功事例は、多くの企業で見られるようになってきました。ここでは、実際にAIを導入し、営業活動の効率化や成果向上を実現した企業事例を紹介します。
株式会社大塚商会
株式会社大塚商会は、AIを活用して営業活動の効率化と成果アップを実現しました。同社が導入したのは、過去の商談データや顧客情報をAIで分析し、商談の成功確率を予測するシステムです。
AIシステムにより成約が見込める案件に注力できるようになったため、営業効率が大幅に改善されました。顧客ごとに最適な提案内容や商談アプローチ方法を選択することで、満足度の向上にも成功しています。
参考:dotData「AIが半年で7万件以上の商談を提案 高精度な分析力で営業担当者の信頼を勝ち得る」
日本生命保険相互会社
日本生命保険相互会社は、Hitachi AI Technology/H(AT/H)を活用して、営業活動の効率化と成約率アップを実現しました。同社は、約1,000万人の顧客データをAIで分析し、保険の成約率向上に影響する要因を発見。
AIによる分析結果を基に、顧客訪問のタイミングに関する新たな知見を得られました。AIが生成したアドバイスを営業担当者に提供することで、経験やスキルに依存しないコンサルティング力の強化に成功しています。
参考:HITACHI「成約率の向上をKPIにAIが適切な提案活動をアドバイス」
みずほフィナンシャルグループ
みずほフィナンシャルグループ、みずほ銀行、日立製作所は、Hitachi AI Technology/H(AT/H)を活用して、営業部門のセールス力向上と企画部門の業務効率化を目指す実証実験を開始しました。
営業部門では、行員の行動データや組織の属性データをAIで分析し、主要業績指標(KPI)と相関性の高い要素を抽出。セールス力向上に向けて、具体的な施策の検討が可能になりました。
参考:みずほフィナンシャルグループ「【FinTech】人工知能の活用による営業部門のセールス力向上と企画部門の業務効率化に向けた実証実験を開始~〈みずほ〉の「オペレーショナルエクセレンス」実現に向けた取り組みを加速~」
横浜銀行
横浜銀行は顧客対応増加と人材不足に対し、AI電話自動応答「MOBI VOICE」を導入しました。24時間365日の自動対応により、応答しきれずに切れてしまう電話をなくすことに成功。
月67時間の業務時間削減にも貢献し、従業員満足度も向上しました。今後は全社的な運用拡大やほかのデジタルチャネル導入を検討し、顧客対応の効率化と品質向上を目指しています。
参考:CX-Branding Tech. Lab「株式会社横浜銀行|電話からボイスボットへ。自動化によるデジタルチャネルの促進で放棄呼ゼロを実現」
株式会社ヒノキヤグループ
株式会社ヒノキヤグループは、働き方改革の一環としてAIチャットボット「ひのくまコンシェルジュ」を導入しました。営業トーク集や顧客への対応方法をQ&A形式に変換し、約1,400のデータで運用を開始。
営業担当者はいつでも気軽に疑問を解決でき、顧客対応の質が向上しました。導入から2か月で高い満足度を達成し、営業力の強化と業務効率化に成功しています。
参考:株式会社エクサ「AIチャットボット導入で受注拡大に向けて営業力を強化 株式会社 ヒノキヤグループ様【導入事例】」
AIを営業活動に導入し今まで以上の成果を上げよう
AIシステムは、営業力の強化と業務効率化に有効です。組織に導入することで、営業担当者の業務負担改善や、顧客対応のクオリティアップが期待できます。
AIを営業活動のサポート役として活用し、企業の生産性向上を実現しましょう。