営業で役立つ心理学テクニック17選|活用するポイントも紹介
更新日:2024年09月12日
公開日:2024年09月12日
トップセールスの中には、営業に心理学を取り入れたコミュニケーションやアプローチを行い高い成績をあげる人がいます。営業活動を頑張っているけれど成果につながらないという人は、心理学を元にしたテクニックを取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事では、営業で心理学を活用するメリットやそれぞれの場面で役立つ心理テクニック、活用のポイントについて解説しています。営業に心理学を取り入れて、効率よく成果につなげていきましょう。
目次
営業で心理学は役立つ?
営業活動では、顧客と関わる短時間のうちに信頼関係を築き、相手にとって魅力的なアプローチを行う必要があります。顧客の心を動かすためには相手の行動や感情について理解することが大切であり、その役に立つのが心理学です。
心理学は人の言動や行動から、表面には表れない隠れた思考や心の動きを解き明かす学問です。心理学を活用すると顧客の心を思う方向にリードしたり、契約のハードルを下げたりするコミュニケーションやアプローチができます。顧客と効率的に関係を築けるため、限られたリソースで最大限の効果を目指すことが可能です。
営業で心理学を活用するメリット
営業で心理学を活用すると、顧客とスムーズに関係が構築できたり、提案内容に説得力を持たせたりすることができます。
顧客との信頼関係を構築しやすくなる
営業に心理学のテクニックを取り入れる一番のメリットは、信頼関係を構築しやすくなる点です。心理テクニックを使うと安心感を与える話法や顧客に寄り添った対応ができるため、信頼されやすくなり、早期に関係が築けます。
どれだけ優れた営業戦略や自社商品であっても、顧客が担当者や自社のことを信頼していない場合は契約は難しくなります。見込み客を契約につなげるためには信頼関係構築が不可欠であり、効率的に関係を築くためには心理学の活用が効果的です。
提案内容の説得力が高まる
営業活動に心理学を活用すると、提案内容の説得力を高めることができます。たとえば、商品の良さをアピールすることは大切ですが、それだけで顧客の心を動かすのは難しいものです。心理学のテクニックを用いると、デメリットも交えつつ相手にとって有益であると伝えることが可能です。
顧客は「自分のことをよく考えてくれている」「デメリットもあるけど自分にとってはメリットが多い」など納得しやすくなります。提案に対し顧客の納得を得ることができれば、成約率の向上が期待できるようになります。
営業で役立つ心理学テクニック一覧
営業で役立つ心理学には、以下の17のテクニックがあげられます。営業で使う際は、テクニックを使う場面やタイミングを見極めて活用しましょう。
信頼関係を築く際に役立つ心理学テクニック | 好意の返報性 |
ミラーリング効果 | |
ピークエンドの法則 | |
オープンクエスチョン | |
単純接触効果 | |
バーナム効果 | |
バックトラッキング | |
交渉を進める際に役立つ心理学テクニック | ローボールテクニック |
ドア・イン・ザ・フェイス | |
フット・イン・ザ・ドア | |
分析麻痺 | |
マジカルナンバー | |
説得力を高める際に役立つ心理学テクニック | メラビアンの法則 |
両面提示の法則 | |
バンドワゴン効果 | |
ウィンザー効果 | |
フレーミング効果 |
信頼関係を築く際に役立つ心理学テクニック
まず、顧客との心の距離を縮め、良い関係を築くために役立つ心理テクニックを紹介します。
好意の返報性
好意の返報性とは、相手から向けられた好意に対し同程度の行為を返したくなるという行動原理のことです。人は自分が受けた好意に対して、何か力になってあげたいという気持ちを抱くため、それを利用した手法になります。
たとえば、顧客との面談や商談中に身につけているものや仕事の実績などをさりげなく褒めることで好意を表せます。ただし、このテクニックを活用する場合は、不自然にならない程度に好意を伝えることが大切です。わざとらしい褒め方や見返りを求める気持ちが伝わってしまうと逆効果になってしまいます。
ミラーリング効果
ミラーリング効果とは、相手の行動を鏡に映したように自身も真似する手法のことです。これは、人は自分と似たものに対して親近感を抱きやすいという人間心理を利用したものです。
たとえば、顧客が笑ったタイミングで一緒に笑ったり、飲み物を口にしたら自分も飲みます。同じタイミングで同じ行動をとることで距離が縮まり、無意識に親近感を抱く心理現象が働き、関係が築きやすくなります。行動の他、話す際の口調やテンポを合わせることでもミラーリング効果を得ることが可能です。
ピークエンドの法則
これは、最も感情が動いたとき(ピーク)と終わったとき(エンド)の印象が、その体験全体の良し悪しを決めるという心理法則です。顧客との商談に当てはめると、ピークは対面時の挨拶で、エンドは別れ際になり、そこに重点を置くようにします。顧客との対面時の挨拶は、明るくはきはきした言葉で行うと好印象を持ってもらいやすくなります。
別れ際には、時間を取ってくれたことに対し丁寧なお礼の言葉を述べましょう。相手の姿が見えなくなるまで深くお辞儀をして見送るなど真心を込めた対応を意識すると、好印象を抱いてもらいやすくなります。
オープンクエスチョン
オープンクエスチョンは、「はい」「いいえ」では答えられない質問のことです。相手の考えや状況により返答が異なるため、顧客理解につながります。「自社のサービスで良かった点は何ですか?」「どうしてその部署で利用されたのですか?」など質問し、自由に回答してもらいます。
これにより、顧客の思考を把握できるだけでなく、悩みやニーズを引き出すことにつながり、満足度の高い提案が可能です。さらに深掘りする質問をしていけば、より多くの情報を引き出すことができ、効果的なヒアリングになります。
単純接触効果
単純接触効果とは、接触の回数が多いほど好感度が高まるという心理効果です。くり返し電話したり、訪問であれば月に1度よりも週に1度のほうが顧客との距離が縮まり、良い印象を持ってもらいやすくなります。
ただし、接触の際に悪い印象を与え続けてしまうと逆効果になります。相手の反応を見ながら感じ良く接することを意識しましょう。
バーナム効果
バーナム効果とは、一般的に言えることを自分のことだとつい思い込んでしまうという心理効果のことです。たとえば、「生産性向上に悩みを抱える会社」など、どの企業でも当てはまることでも自社のことだと思い込むことです。
これにより、「この営業担当者は自分のことをよく分かっている」と思わせることができるようになり、成約に至る確率が高まります。ただし、活用する場合は誇大表現や不快な表現にならないように配慮が必要です。
バックトラッキング
バックトラッキングとは、相手の言葉をオウム返しのようにそのまま言い返すことです。人間は自分と似ている人、考えが同じ人に好感を持ちやすく、オウム返しすることで親近感や信頼感を得やすくなる効果があります。
言葉遣いやしぐさをまねることでも同じ効果が得られます。商談では自分の意見を伝えながら、話の合間にバックトラッキングを挟めてみましょう。
交渉を進める際に役立つ心理学テクニック
交渉を進める際は、なるべく条件を変えずに自社の提案を受け入れてもらいたいものです。有利に交渉を進めるためには、以下のような心理テクニックが役立ちます。
ローボールテクニック
ローボールテクニックは、商談では相手が受け入れやすい条件のみ提示し、承諾された後に悪い条件を示すという方法です。これは、一旦承諾したことはその後に条件が変わっても断りにくいという人間の心理を利用しています。
たとえば、顧客が購入しやすい金額で商品を提案し、承諾された後に追加費用が発生することを提示するケースなどです。始めにトータル金額で提案するよりもハードルが低いと感じ、顧客は決断しやすくなります。
ドア・イン・ザ・フェイス
これは、最初に顧客にとってハードルの高い要求を提示した後で、本来の要求を提示すると受け入れてもらいやすくなるという手法です。一度難しい要求を断った後なので、罪悪感があり、次の要求を受け入れやすくなるという心理を利用しています。
営業で活用する場合は、顧客から断られるであろう提案をまずしておいて、その後でハードルを下げた提案をします。ドア・イン・ザ・フェイス効果により、後で出した本来の要求が受け入れられ、成約に至る可能性が高まるでしょう。
フット・イン・ザ・ドア
これは、顧客が受け入れやすい条件から提示し、徐々にハードルの高い要求を追加し最終的な要求へつなげていくテクニックです。人間は段階的に要求されると、始めに難しい要求をされるよりも受け入れやすくなるという心理があり、それを利用しています。
営業活動では、始めに「簡単なアンケートをお願いします」など相手が受け入れやすい要求を提示し、次につなげていきます。これにより、始めから契約を迫るよりも成約率を高めることが可能です。
分析麻痺
分析麻痺は、選択肢が多すぎると迷い、考えすぎるあまり行動に移せなくなるという心理のことです。商品やサービスのプランやオプションが多すぎると、顧客はどれが自分にふさわしいのか判断できず決定できなくなることがあります。
このような状態を避けるために、担当者は顧客のニーズや課題に合わせた最適なプランを絞り込んで提案することが重要です。適切なプランの選定は、顧客の悩みや課題を効率的に解決する手助けになります。
マジカルナンバー
マジカルナンバーとは、人間が短期間に記憶できる情報数は限られており、「7±2」または「4±1」が限界であることを示しています。情報が多すぎると理解しにくくなるので、メリハリをつけたり、強調したりして記憶に残ってほしいことを絞って伝えることが重要です。
近年は「マジカルナンバー4」が主流になりつつあります。商品の特徴を伝える場合も、導入実績やメリット・デメリット、金額などすべてを説明すると煩雑になり記憶に残りにくくなります。商談では特に伝えたいことを3つから5つ程度に絞ると相手の記憶に残りやすいでしょう。
説得力を高める際に役立つ心理学テクニック
顧客への提案に説得力を持たせると、納得して選んでもらうことができます。説得力を高めるには以下のようなテクニックが有効です。
メラビアンの法則
メラビアンの法則は、コミュニケーションの際に聞き手はどのような情報によって印象を決定づけやすいかを表しています。以下の条件の割合によって、話し手の印象が左右されるとされています。
見た目などの視覚情報 | 55% |
声・話し方などの聴覚情報 | 38% |
会話内容などの言語情報 | 7% |
営業活動では、担当者の見た目や態度、商品の写真・動画が顧客の印象に残りやすいということです。そのため、商談の際は自身の服装や表情、リアクションに気をつけるようにしましょう。プレゼンテーションに視覚的に理解しやすい資料を用いると、文章やトークだけよりも自社を印象づけることができます。
両面提示の法則
両面提示の法則とは、メリットとデメリットを同時に伝えることで、公平性や透明性を出すことができるという法則です。商品のメリットだけを伝えると、都合のいいことしか話さないと受け取られがちです。メリットとともにデメリットも伝えることで、公平な状況で判断できることを顧客に印象づけられます。
また、両面提示することでデメリットが顧客にとってどの程度の障壁であるかじっくり考えてもらえるのも良い点です。顧客自身が納得し、最適な選択をすることを後押しできるので、信頼関係を深める役にも立ちます。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは、多くの人が選んでいる事象があると、それを選択する人がより増えるという効果のことです。商談などでは自社商品を紹介する際に、導入している企業数や実績も伝えるようにします。
導入企業が多く実績が高ければ、「それだけ実績があるなら良い商品だろう」と、先入観によって判断する心理が働きます。単に商品のメリットを伝えるよりも選択されやすくなるでしょう。バンドワゴン効果は、定量的な数字をアピールするとより有効です。
ウィンザー効果
ウィンザー効果とは、第三者から間接的に得た情報によって、信頼性や信憑性が高まるという心理効果です。たとえば、自社製品に対し担当者が自分の意見だけを述べるのではなく、口コミやレビュー、アンケート結果などを提示します。
会社と利害関係のないユーザーの意見であれば、顧客は提案内容の信頼性や信憑性が高いと感じ、商品への信頼が増します。この場合にGoogleの口コミなどを提示すると、より一般性が高くなり、作為のない意見であると示すことが可能です。
フレーミング効果
フレーミング効果とは、情報の伝え方を変えることで与える・受ける印象が変化するという心理現象です。たとえば、以下の2つを比較してみましょう。
- この製品によって90%の企業が利益をあげ、成功した
- この製品を使った10%の企業が失敗した
同じ内容の情報を扱っていても、前者よりも後者のほうがネガティブな印象を抱きやすくなります。フレーミング効果は「人間は損失を回避する傾向がある」という「プロスペクト理論」にも関連しています。
「10%が失敗した」と伝えることで失敗が強調され、損失を回避する思考につながり敬遠することが考えられるからです。同じ情報を伝える場合、フレーミング効果を意識し、ポジティブな表現を選ぶことが重要です。
営業で心理学テクニックを活用するポイント
営業活動で心理学テクニックを活用し、自由自在に操るためには、以下のポイントを押さえると効果的です。
トークスクリプトに入れる
営業でトークスクリプト(台本)が利用されている場合は、内容に心理学テクニックを含めると自然なトーク展開が可能になります。これにより、商談の流れの中で不自然なタイミングで心理学テクニックを使ってしまうといったミスを防げます。
事前に練習できるため、心理学テクニックを活用した提案を自信を持って堂々と行える点もメリットです。状況別に複数のトークスクリプトを用意すれば、いろいろな心理テクニックを扱えるようになるでしょう。
ロールプレイングを行う
営業のロールプレイングに心理学テクニックを取り入れると効果的に身につけることができます。実際に商談するように進めていき、心理学テクニックを使った話し方やテクニックを使うタイミングを確認しておきます。
演習で改善した方が良い点が見つかれば、本番ではさらに効果的にテクニックを実行できるでしょう。ロールプレイングをする際に、成績のよい上司や先輩などにフィードバックをもらうとより学びにつながります。
実際の商談で使う
トークスクリプトやロールプレイングで練習したら、次は実際の営業活動で心理学テクニックを使ってみましょう。テクニックを活用した後は、顧客の反応に変化があったかどうか振り返りを行います。成果に関してもテクニック使用前と比較してみましょう。
振り返りでは、テクニックを使うタイミングや会話が不自然でなかったか確認し、改善点があれば見直します。実践と改善をくり返しながらより効果的な営業活動を目指していきましょう。
営業で心理学を活用し、スキルアップや成果につなげよう
営業で心理学を活用すると、顧客との関係構築の時間を短縮できたり、商談の際の説得力を高めたりするメリットがあります。営業で活用できる心理学テクニックは多々ありますので、場面や状況に合った手法を選ぶことが大切です。
心理学を活用したトークスクリプトやロールプレイングなどを用いると、チーム全員のスキル向上が目指せます。営業で心理学をうまく活用し、生産性向上につなげていきましょう。
営業・育成支援AIツールで再現性の高いスキルアップを実現
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このツールは、商談やミーティング中の様子を録画、AIが自動で文字起こし、議事録の作成まで行えます。また、話しているスピードや内容などをAIが解析し、どんなトピックにどれくらい時間を使ったのか、重要な箇所はどこなのかを分かりやすく表示します。
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