STP分析とは?活用のメリットからやり方、採用マーケティングへの活用法も解説
更新日:2024年08月12日
公開日:2024年08月12日
STP分析は、新商品を展開する際などに用いられるマーケティングのフレームワークです。自社の優位性を高めるためにもSTP分析は有効であるため、効果的な導入方法を知りたいという企業は多いのではないでしょうか。
この記事では、STP分析の概要、メリット、実施する方法、注意点、採用マーケティングへの活用法などについて解説しています。STP分析について理解を深め、ビジネスで効果的に活用していきましょう。
目次
STP分析とは?
STP分析とは、マーケティング戦略を策定するためのフレームワークで、「セグメンテーション(Segmentation)」、「ターゲティング(Targeting)」、「ポジショニング(Positioning)」の3つのステップから構成されます。
STP分析により、顧客グループの特性、最適なターゲット層、自社製品の市場での位置づけが明確になります。これにより、自社製品が効率的に利益を獲得できる市場の特定や、他社との差別化を図る戦略の策定が可能です。
ニーズの把握や他社との差別化ポイントがわかるなどのメリットがあり、マーケティング分野で用いられることの多い手法です。
STP分析で用いられる3つの指標
まずはSTP分析がどのような手法であるか具体的に見ていきましょう。STP分析ではセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの3つの指標が用いられます。
S:セグメンテーション
セグメンテーションは、市場を細分化して異なるニーズや特性を持つ顧客グループに分けるプロセスです。これにより、企業は特定のグループに対してより効果的なマーケティング戦略を立てることができます。たとえば、地理的、人口統計的、心理的、行動的基準に基づいて顧客を分類します。
ここでは「どのような観点から」、「どこまで厳密に細分化するのか」を判断することが重要です。自社の製品やサービスが必要とされる特定のセグメントを見つけ、その規模や自社の強みが活かしやすいかどうかを検討します。
T:ターゲティング
ターゲティングは、セグメンテーションで識別された顧客グループの中から、最も魅力的で収益性の高いグループを選び出すプロセスです。一般的には自社製品の強みが活かせ、コンセプトやブランドイメージに合った市場を選択します。
選定したターゲットセグメントに対してリソースを集中させ、マーケティング活動を展開します。異なる市場を規模や構造からターゲット選定することで、より精度の高いマーケティングが可能です。
ターゲットを1つに絞る集中型や、複数に展開する差別型など、提供する製品や戦略に合わせたマーケティング手法を用います。
P:ポジショニング
ポジショニングは、選定したターゲットセグメントに対して、自社の製品やブランドをどのように位置づけるかを決定するプロセスです。顧客に対して独自の価値を提供し、競合他社との差別化を図ります。
具体的には、製品の特性、価格、品質、プロモーション、流通チャネルなどを調整し、顧客の心に強い印象を残す戦略を構築します。取得したデータに基づいて分析しますが、指標が多すぎると複雑化し、重要なデータを見落としてしまうこともあるため注意が必要です。良い設定が行えると、自社の利益の最大化につながります。
マーケティングでSTP分析を活用するメリット
STP分析を行うことでユーザーのニーズを把握し、自社の魅力や他社との差別化要素の再認識ができます。それにより効果的なプロモーション戦略を策定できるなどのメリットがあります。
ユーザーのニーズを正確に把握できる
STP分析を活用することで、顧客を詳細にセグメント化し、それぞれのグループのニーズや特性を明確に把握することができます。どの市場にどのような顧客がどれくらい存在するのか整理できるため、自社の製品に合致した顧客グループが判別しやすくなります。
分析によって自社がターゲットとすべき消費者像が具体的になり、より的確な製品開発やサービス提供が可能です。ユーザーの声を反映させた戦略が展開できるため、顧客満足度の向上が期待できます。
自社の強みや改善点を再認識できる
セグメンテーションとターゲティングを通じて、自社の強みがどの顧客セグメントに最も響くのかを確認できます。また、ターゲット市場のニーズに応えられていない部分を把握することで、改善点が明確になるのもメリットです。
顧客を絞り込み、改善すべき点が分かれば、競争力を強化するための具体的なアクションを取ることができます。また、自社製品の強みを明確に把握し社内で共有することで、組織力強化にもつなげられます。
他社との差別化を図れる
STP分析では、ポジショニングの段階で、自社製品やブランドを競合他社と比較します。製品の機能や価格を比較することで差別化ポイントが明確になり、自社に有利な戦略を構築できるようになります。
ターゲット顧客に対して独自の価値を提供することで、市場での優位性を確立し、競合他社との差別化を図ることが可能です。他社の情報も得たうえで効率の良いアクションがとれるため、市場で勝ち残れる可能性が高まります。
効果的なプロモーション戦略を実施できる
STP分析によって明確になったターゲットセグメントに対して、効果的なプロモーション戦略を展開できます。顧客の特性やニーズに合わせたメッセージやチャネルを選定することができるため、より製品の魅力を届けやすくなるのがメリットです。
顧客を絞り込み、有効なアプローチを展開できるため、効率性がアップします。マーケティング活動の成果を最大化し、投資対効果を向上させることができるようになります。
STP分析のやり方を5つのSTEPで解説
ここではSTP分析のやり方を5つのSTEPで解説します。
STEP1:目的を明確にする
STP分析を開始する前に、まず分析の目的を明確にします。たとえば、新しい製品を市場に投入する、既存の製品の市場シェアを拡大する、ブランドイメージを再構築するなどです。具体的な目標をわかりやすい言葉で設定することが大切です。
このステップは、分析の方向性を決定することにつながります。明確な目標があれば複数の選択肢の中から自社が狙うべき顧客層やアプローチ方法を適切に選ぶことが可能です。目的を曖昧なままにしておくと、途中で支障が出たり、分析自体が目的化したりする可能性があります。
STEP2:市場を細分化する
次に、市場を細分化(セグメンテーション)します。地理的、人口統計的、心理的、行動的などの基準によって市場を異なるグループに分け、それぞれのグループの特性やニーズを理解します。
細分化していくことで自社の提供する価値と合致する市場分野を見つけやすくなり、顧客の絞り込みが可能です。データを元にどのセグメントが最も魅力的で、アプローチすべき対象であるかを特定することができます。
STEP3:狙う市場を選定する
市場を細分化した後、ターゲティングを行い、最も魅力的な市場セグメントを選定します。選定基準には、セグメントの規模、成長可能性、競争環境、収益性などが含まれます。
大企業と競合する可能性がある場合は、その企業には無い自社の強みや魅力が活かされるグループを選びましょう。また、選定したセグメントに対して、マーケティングリソースを集中させることが重要です。
STEP4:自社の立ち位置を決定する
次に、ポジショニングを行い、自社の製品やブランドを選定したターゲット市場の中でどのように位置づけるかを決定します。顧客に対して自社の独自の価値提案を明確にし、競合他社との差別化を図ります。
このステップでは、製品の特性、価格、プロモーション、流通チャネルなどを総合的に考慮することが大切です。さらに、自社の立ち位置を見極めるために、競合調査が欠かせません。競合他社の製品に実際に触れて特徴や魅力を抽出してみたり、業界の競合動向調査などの文献を調査したりしてみましょう。
STEP5:マーケティング戦略を決定する
最後に、前のステップで得られたインサイトを基に、具体的なマーケティング戦略を策定します。ターゲットセグメントに対して、どのようなメッセージをどのチャネルを通じて伝えるかを決定します。
アプローチのためマーケティングミックス(4P:製品、価格、場所、プロモーション)を最適化し、具体的な展開方法を決めましょう。これにより、効果的なマーケティング活動を実施し、目標の達成を目指します。
STP分析を実施する際の注意点
STP分析をより有効に行うために、以下の点に注意して実施しましょう。
STP分析だけを頼りにしないようにする
STP分析は強力なツールですが、それだけに頼るのは危険です。分析によって最適な市場を見つけたとしても、自社製品の魅力が顧客に届くようなアプローチをしなければ売上にはつながりません。
また、市場や顧客の動向は常に変化していると意識することも大切です。他のマーケティング分析手法や最新の市場データも併用して、総合的な判断を行うことが重要です。
市場の大きさや成長率も考慮して分析する
STP分析では市場セグメントの特性を細かく分析しますが、細分化した市場の大きさや成長率も重要な要素です。市場規模が小さかったり成長が見込めなかったりするセグメントをターゲットにしても、長期的な成功は難しいからです。
この場合はマーケティング戦略の展開方法を工夫する必要があります。STP分析結果を確認し、別の角度から調査・分析するマーケティング手法を導入するようにしましょう。
分析の順番をこだわりすぎない
STP分析は一般的にセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順で行いますが、順序は変更が可能です。特定の状況やビジネスニーズに応じて、最適なアプローチを選択する柔軟性を持つことが重要です。
S・T・Pの順序を入れ替え試行錯誤することで、さらに効果のある戦略を策定できるようになるでしょう。STP分析だけでなく他のフレームワークも活用すれば、多角的な視点で捉えることが可能になります。
常にユーザー目線での分析を心がける
分析の際には、常にユーザー目線で考えることが大切です。顧客のニーズや期待に応えることが最終的な目的であり、顧客の視点を無視した分析は有効な結果を得られません。
自社が勝てそうな市場を狙うことだけでなく、顧客の満足感や利益につながる提供ができるかを考えましょう。顧客の声を反映させた実際のデータやフィードバックを重視することで、顧客の満足度が向上し、継続的な成果につなげられます。
狙っている市場が根本的に正しくないケースもある
STP分析で選定した市場セグメントが必ずしも正しいとは限りません。S・T・Pで得た情報やデータを盲信しないようにしましょう。市場調査や実際の販売データを基に仮説を検証し、必要に応じてターゲットセグメントや戦略を見直すことが重要です。
目的を達成できそうか定期的にチェックする場を設けて、見直しの時機を逃さないようにしましょう。状況に柔軟に対応し、継続的に市場環境をモニタリングする姿勢が求められます。
STP分析は採用マーケティングにも活用できる
採用マーケティングとは、自社の求める人材を採用するための取り組みのことです。従来の採用活動との違いは、積極的に転職を考えている人だけでなく、潜在層にもアプローチすることです。これにより、より自社の求める人材を効率よく獲得することが可能になります。
方法にはマーケティングのフレームワークを取り入れることが多く、STP分析も活用されています。新卒の場合は、学生のカテゴライズやポジショニングの確認が可能です。STPでは自社の現状分析も行うため、効果的な採用戦略を立てるためにも役立ちます。
また、STP分析を行うとターゲットの明確化が図れるため、新卒だけでなく中途採用にも活用できます。即戦力となる優秀な人材を獲得する際にも、STP分析は有効です。
STP分析を導入し、効果的なマーケティング戦略を策定しよう
STP分析は、自社製品の強みや魅力が届きやすい顧客を絞り込み、効率的なマーケティングを行うために有効な手法です。顧客のニーズを把握するだけでなく、自社の改善点を明確にし、効果的なマーケティング戦略を策定するのに役に立ちます。
顧客満足度の向上も図れるため、アップセルなどによる継続的な売上も期待できます。
STP分析を導入し、マーケティング活動の成果の最大化を図り、投資対効果の向上や組織力強化につなげましょう。
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