Claude(クロード)とは?特徴や日本での使い方、活用例を解説
更新日:2024年03月28日
公開日:2024年03月12日
Claude(クロード)とは、2021年設立の米会社が提供する無料AIアシスタントです。特徴や日本での使い方について理解すると、自社での業務効率化に役立つ可能性があるでしょう。
この記事では、Claude(クロード)の特徴や使い方、活用例について解説します。
目次
Claude(クロード)とは
Claude(クロード)とは、米国のスタートアップ企業であるAnthropic(アンソロピック)社が提供する生成AIです。ChatGPTのように、チャットボックスに質問を投げかけると適切な内容で応答します。APIの提供もしており、Slackをはじめとしたさまざまなサービスとの連携も可能です。現在はClaude3という最新版の利用が可能。
なお、公式ホームページは英語表記ですが、チャットでの受け答えは日本語でも可能です。
参考:Claude(クロード)3とは?|専門知識 (MMLU)ではGPT-4をも超える
Claude(クロード)はなぜ注目されている?
Claude(クロード)を手掛けるAnthropic(アンソロピック)社は、生成AIを提供する主要4社としてアメリカ政府から認められたことで注目が集まっています(※1)。2021年設立のスタートアップ企業にもかかわらず、2年足らずで最新テクノロジーを支える中心的な存在となりました。
さらに、2023年にはGoogle社をはじめとした企業から約620億円を調達したと発表されています(※2)。この資金提供額は、2023年のAI企業ではChatGPTを手掛けるOpenAIに次ぐ規模だといわれるほど高額です。
資金提供により、Anthropic社はますます高性能なAI開発を行うことが期待されています。
(※1)参考:日本経済新聞「AI規制と革新の均衡探る 米政府、主要4社と会談」
(※2)参考:日本経済新聞「AI開発の米アンソロピック、Googleなどから620億円調達」
Claude(クロード)の運営会社
Claudeの運営会社情報は、以下のとおりです。
会社名 | Anthropic(アンソロピック) |
設立 | 2021年 |
本社 | アメリカ合衆国カリフォルニア州 |
従業員数 | 160名 |
業種 | 人工知能 |
企業URL | https://www.anthropic.com/ |
Claude(クロード)の公式サイト
Claudeは公式サイトにアクセスし、メールアドレスを登録することですぐに利用が可能です。サイト内は英語表記ですが、チャットボットの質問や応答は日本語で行えます。利用する時間帯によってはアクセスが集中し接続しにくい場合がありますが、基本的に誰でも使用可能です。
Claude2の特徴
生成AIであるClaude(クロード)に、どのような機能や性能が備わっているのか気になるところです。ここでは、Claude2の機能や性能、ほかの生成AIとの比較について解説します。
人間らしい自然な文章生成
Claude2は、生成AIの中でも人間らしい自然な文章生成に優れているといわれています。今までの生成AIの文章表現は「論理的」「機械的」などと言われてきました。
Claude2による回答は、より人間の心情や感情に配慮した言い回しが特徴です。ビジネスの場面であれば、不特定多数の人と関わるカスタマーサポートにおいて力を発揮する可能性があるでしょう。
多くのプロンプトを同時に扱える
Claude2は、一度に処理できるプロンプト量が多いことが特徴の一つです。Claude2では、最大100,000トークン(約75,000語)の処理が可能とされており、一般的な論文約150ページ分相当の読み込みができます。
Claude2を使えば、容量の膨大なデータであっても一度に読み込ませて処理が可能です。論文の要約や、英文記事の翻訳などに役立てられるでしょう。
生成される応答の信頼性が高い
Claude2は、AIが生成する応答の信頼性や安全性の高さも特徴の一つです。Anthropic社によると、前モデルであるClaudeに比べて、Claude2は回答の安全性が2倍に高まった(※3)とされています。
生成AIには応答の質に懸念が残るものが依然として多く、回答の不確実性が低いケースも少なくありません。Claude2の応答も完全ではないものの、生成AIの中では信頼性が比較的高いツールといえるでしょう。
(※3)参考:Anthropic「Claude 2」
コードの作成能力が高い
Claude2では、高精度なコードの作成ができることも魅力といえます。Anthropic社によると、Claude2はPythonのコーディングテストであるCodex HumanEvalにおいて正答率71.2%を記録しました。同テストにおけるChatGPT4の正答率が67%であったことをふまえると、Claude2のコード作成能力の高さがうかがえます。
生成AIのコード作成分野において、Claude2の精度は現時点では高水準であるといえるでしょう。
参考:Anthropic「Introducing the next generation of Claude」
データの鮮度が比較的高め
Claude2は2023年初頭までのデータを学習しているため、回答の鮮度の高さが期待できます。ChatGPTの無料版の学習データは2021年9月までのものとされており、同じく無料のClaude2の保有情報のほうが1年分以上豊富です。
Claude2は2023年リリースということもあり、ほかの生成AIと比べると後発であるため学習データも比較的新しいものとなっています。データの鮮度が高い分、質問に対する回答内容も最新のトレンドに強いと考えられるでしょう。
複数のファイルの読み込みが可能
Claude2では、一度に複数のファイルの読み込みが可能なため、分析や比較の際に便利です。別な生成AIでもファイルの要約を行えますが、一度に処理できる量には限りがあります。Claude2は2つ以上のファイルを同時に読み込めるため、内容を要約したうえで比較することも可能です。
論文や数値などの分量の多い情報であっても、データの関連性の発見や広い視野での洞察を瞬時に行えるでしょう。
無料で使用可能
Claude2は、現時点(2024年3月)では無料で使用できることも特徴の一つです。ChatGPTでは、最新データの反映やファイル読み込みなどのプラグインを使用したい場合、月額料金の支払いが求められます。
一方、Claude2はデータの鮮度が高く、コード生成が可能であるにもかかわらず、課金の必要がありません。ほかの生成AIなら有料である機能を無料で使える点は、Claude2の大きな特徴といえるでしょう。
Claude2とChatGPTとの比較
Claude2について、単体での説明では性能や機能がわかりにくいと感じる人も多いでしょう。以下に、同じく生成AIであるChatGPTとのスペックや特徴の比較を示しました。
Claude2 | ChatGPT3.5 | |
料金 | 無料(有料プランあり) | 無料(有料プランあり) |
主な特徴 | 人間らしい自然な文章生成 | 高い応答能力、多言語対応 |
プロンプト処理量 | 最大10万トークン(論文150ページ分相当) | 最大4,097トークン (論文8ページ分相当) |
データの鮮度 | 2023年初頭までのデータを学習 | 2021年9月までのデータを学習 |
複数ファイルの読み取り | 可能 | 不可 |
処理の速さ | 平均5秒ほど | 数秒〜30秒ほど |
アクセスの仕方 | ブラウザやツールから | ブラウザから |
プラグイン | なし | あり |
公開地域 | 95か国(日本含む) | 全世界 |
ここでは、それぞれの項目について、ClaudeとChatGPTの比較について解説します。
料金
Claude2とChatGPTはどちらも基本的には無料ですが、有料バージョンも用意されています。ただし、Claude2は前章で紹介したように、無料版であってもデータ処理量や情報の鮮度の高さが特徴です。わざわざ有償版にアップグレードしなくても、ChatGPTの有料版より高クオリティな回答を生成できる可能性があるでしょう。
主な特徴
Claude2の特徴が「人間らしい自然な文章生成」であるのに対し、ChatGPTは「高い応答能力、多言語対応」が持ち味です。言い換えればClaudeは「心情や感情に配慮した言い回し」ChatGPTは「論理的で少々硬い言い回し」とも表現できます。情報の正確さが同等であれば、出力される雰囲気の好みでツールを選んでもよいでしょう。
プロンプト処理量
一度の入力で扱えるプロンプト処理量は、Claude2で最大10万トークン(論文150ページ分相当)、ChatGPTで最大4,097トークン(論文8ページ分相当)です。Claude2のデータ処理量のほうが、ChatGPTよりも18倍以上大きいことになります。大容量の論文を複数扱う場合は、Claude2のほうが安全でしょう。
学習内容の新しさ
学習内容は、Claude2で2023年初頭まで、ChatGPTで2021年9月までであるため、Claude2のほうがより最新です。学習内容はClaude2とChatGPTで1年以上の差があるため、トータルのデータ量にも大きな違いがあると考えられます。最新のトレンドや比較的新しいニュースを取り入れたい人には、Claude2がマッチしているでしょう。
複数ファイルの読み取り
Claude2は一度に複数のファイルの読み取りが可能であるのに対し、ChatGPTは1つのデータしか扱えません。2つのデータを比較し分析したい人には、Claude2のほうが向いています。また、前述のとおり、Claude2のデータ処理量はChatGPTよりも3倍以上の大きさです。Claude2なら、2つ以上のデータを読み込む場合にかかる負荷の心配がありません。
処理の速さ
処理の速さは、Claude2が約5秒であるのに対し、ChatGPTが数秒〜30秒ほどです。どちらにしても無料版の場合はピーク時間のラグは避けられませんが、Claude2のほうが処理速度は速めということになります。容量の大きいデータを扱う場合は、Claude2のほうがより生産性が高く、時間効率もよいでしょう。
アクセスの仕方
アクセスの仕方は、Claude2はブラウザやツールから、ChatGPTはブラウザからとなります。どちらも公式ホームページへのアクセスで使用可能ですが、サイトの表記は英語であるためブラウザのサイト翻訳機能などを使いましょう。どちらのAIも、チャットボットへの入力や返答は日本語で行えます。
プラグイン
プラグインは、Claude2には現時点(2024年3月)では存在しませんが、ChatGPTでは活用できます。プラグインとは、生成AIをより便利に利用できる追加機能のことです。ChatGPTには、データ分析や図の自動生成など、さまざまな種類のプラグインが用意されています。プラグインを使ってさらに生成AIを楽しみたい人には、現時点ではChatGPTのほうがオススメです。
公開地域
公開地域は、Claude2が日本を含む95か国、ChatGPTが全世界対応です。現時点ではChatGPTの公開地域のほうが広いものの、Claude2も徐々に利用可能範囲を広げています。Claude2は2023年10月16日、それまでの公開範囲であったアメリカとイギリスを含む95か国および地域にサービスを広げたと発表しました。公開範囲には日本も追加されており、今後さらなるサービス展開が期待されます。
日本でClaude2を使う方法とは
日本でClaude2を使うには、以下の3つの方法が挙げられます。
- 公式ホームページから
- Poe AIの活用(Claude2の使用にはプレミアム登録が必要)
- Slack連携
ここでは、もっともシンプルな方法である公式ホームページでの使い方を解説します。スマートフォンからでも、パソコンからでも利用可能です。
メールアドレスを入力
まずは、Claude2の公式サイト(https://claude.ai/login?returnTo=%2F)にアクセスし、メールアドレスを入力します。次に自分のニックネームを入れたら、すぐに利用可能です。
なお、Googleアカウントでのログインも可能です。
チャットボットに入力してみる
チャットボットの画面が出てきたら、自分が聞いてみたい質問を入力してみましょう。今回は、シンプルな朝食メニューについて質問してみます。
すると、チャットボットが朝食のアイデアを4つ提案してくれました。さらになにか聞きたいことがある場合は、下の入力欄から質問できます。
Claude2の使い方はシンプルですが、実際にどんなことに活用すればいいかわからない人もいるでしょう。次章では、Claude2の手軽な活用方法について解説します。
Claude2の活用例
実際にClaude2を使用するなら、日常生活や業務が便利になる利用方法を試したいものです。Claude2ならではの機能である、最新情報の質問やプログラム生成方法について理解しましょう。
チャットで大まかな最新情報を質問する
Claude2の学習内容が比較的新しいことを利用して、チャットで最新情報について質問してみましょう。Claude2の学習範囲が2023年初頭であることを利用し、今回は「東京・上野動物園のジャイアントパンダ『シャンシャン』はまだ日本にいますか?」と入力してみます。
日本にはすでにいない事実は合っているものの、実際に返還された年月日は2023年2月21日のため誤って出力されました。比較的新しい時事ニュースや、スポーツトレンドの大まかな内容を確認する際には便利です。ただし、年月日や内容の真偽は、あらためて各自で調べたほうがより正確な情報を得られるでしょう。
長文ファイルの要約
Claude2では、長文ファイルの要約も可能です。要約したいファイルを保存したら、クリップマークをクリックして該当のデータを開きましょう。ファイルをアップロードし「画像の内容を要約してください」と入力すると、データを読み込み内容の要約がスタートします。
ファイル内容の解析は、以下の状況でも役立つと考えられます。
- 学術論文の要点整理
- 会議資料の要約
- 新しい法律に関するPDFのテキスト化
- 個人的な日記やメモの文章化
スマートフォンで鮮明に撮影した写真も使えるので、日記やメモのような手書き文章にも利用可能です。
Pythonのコードの作成を書いてもらう
Claude2に「Pythonで○○のプログラムを書いてください」と指示すると、コードを生成できます。今回は「Pythonで今日の占いのプログラムを書いてください」と入力しました。
すると、星座の選択により大吉から大凶の6種類をランダムに表示できるコードが生成されました。
ただし、画面下部に「Claudeには生成したコードを実行する機能はまだありません。」とのメッセージが表示されたため、実行には別の環境の用意が必要です。
Claude(クロード)について理解し自社の業務効率化に役立てよう
Claude(クロード)は、チャットボックスに質問を投げかけると応答してくれる無料の生成AIです。2023年10月からは日本からも手軽に使えるようになったため、今後はより身近なツールになると考えられます。使い方に慣れると、文章要約やアイデア出し、コード生成など、実用性の高い利用が可能です。
Claudeの使い方を理解し、自社の業務改善につなげられるよう検討してみましょう。