インサイドセールスとオンライン営業|テレマーケティングとの違いも解説
更新日:2023年07月13日
公開日:2023年03月29日
オンライン営業でフィールドセールスが足踏みを余儀なくされています。しかし、企業が生き残っていくためにはコロナ禍を理由に営業活動を中止するわけにはいきません。そんな中、急速に拡大しつつある営業手法がインサイドセールスです。
ここでは、インサイドセールスの概要やテレマーケティングとの違い、インサイドセールスに向いている人、およびインサイドセールスの関連事項についてご紹介しています。
目次
インサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、目先のアポや売上ではなく、顧客との中長期的な関係を維持しながら、顧客のニーズに沿った商材を提案する継続的な活動を言います。
前半のアプローチでは、顧客または見込み客のニーズや課題を把握した上で、予算や検討時期、決定権のある相手などのBANTC情報(※)を引き出します。
これらの情報をもとに継続的な接点を取りながら、提案のタイミングや確度の高い商談相手を模索。
営業担当者がムダのない活動を行えるよう、インサイドの立場からサポートします。
なお、顧客または見込み客との継続的な接点を取り続ける過程で、「今は検討する予定がない」と断られるケースもあるでしょう。
そのような場合でも接点を作り続けながら、情報提供を途切れさせないようにします。
まずは先方にとって有益と思われる情報を継続的に提供することで信頼関係を築きます。
いざ先方が検討する段階になった際、第一に自社を思い浮かべてもらえるよう種を撒き続ける活動がインサイドセールスです。
(※)BANT情報…Budget(予算)、Authority(決裁権)、Needs(必要性)、Timeframe(導入時期)、Competitor(競合)
テレマーケティングとインサイドセールスの違い
一見、テレマーケティングとインサイドセールスは似た印象があります。
最終的な目標が自社の売上増という点では両者ともに共通していますが、活動そのものは大きく異なります。
テレマーケティングは、見込み客などに自社商材の魅力をアピールし、興味を持ってもらったりアポへとつなげたりするのが主な活動です。
それに対してインサイドセールスは、見込み客などの課題やニーズを引き出したり、営業提案のタイミングを見極めるために必要な情報を引き出したりするのが主な活動です。
テレマーケティングの場合、アポを取って実際に営業員が先方を訪問したとしても、「今は検討していない」「自分には決定権がない」などと回答されることが多々あります。
インサイドセールスでは、検討のタイミングや決定権者を把握した上でアポを取るため、テレマーケティングのように非効率な結果につながる可能性が低くなります。
インサイドセールスの具体的な手法
インサイドセールスをうまく機能させるためには、プロセスセリングという考え方に立脚することが大切です。
プロセスセリングとは、提案から成約に至るまでのプロセスを分解・標準化して営業活動を行うことを言います。
いつどのような資料を提供するのか、どのタイミングで誰に電話をするかなど、営業プロセスを明確にして分解し、各プロセスを標準化して営業活動を進めていく考え方です。
プロセスセリングの考え方を導入することで、顧客開拓から成約、顧客フォローに至るまでの流れを営業員一人で担う必要がなくなります。
営業の全行程が分解・標準化されていれば誰がどのプロセスを担当しても、基本的には同じような結果に落ち着くでしょう。
また、営業プロセスのすべてを一人でこなすことから生まれる「営業の属人化」という問題も、プロセスセリングによって解消可能となります。
なお、インサイドセールスでプロセスセリングを効率的に進めていくためには、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援システム)など、顧客情報や営業進捗を可視化させるためのツールの導入が大変有効です。
インサイドセールスはどのような人に向いているのか
究極的にはインサイドセールスも営業の1つである以上、インサイドセールスの中心には「フィールドセールスが得意な人材」を配置すべきとの考え方があります。
しかし、この考え方に立ってインサイドセールスのリーダーを選出した場合、高い確率でうまくいかないでしょう。
フィールドセールスで重視される事項は、売上達成の見込みや成約件数、成約金額などです。
一方、インサイドセールスで重視される事項は、プロセスセリングの考え方に立ち、アプローチのタイミングや決定権者を模索することにあります。
もしフィールドセールスを得意とする人材がインサイドセールス員、またはそのリーダーとして配属された場合、プロセスではなく数字を重視する考え方が優先してしまいます。
そのため、本来目指すべきインサイドセールスの方向へと進めない可能性があります。
インサイドセールス部門には、マーケティング部門とフィールドセールス部門の間に立って営業組織のハブとして全体を調整できる人材を配置することが大切です。
インサイドセールスの管理者が注意すべきポイント
目先の数字が目標を下回っている場合、例えばフィールドセールスならば、アプローチ回数を増やすなどの「行動の量」に訴える傾向があります。
一方、インサイドセールスの場合には、「行動の量」ではなく「行動の質」に訴えるのが正しいやり方です。
「行動の質」を検証し、着実に数字へとつながるルートを作り続けることがインサイドセールスである以上、管理者には「すぐに結果を求めない」という姿勢が大切です。
オンライン営業のメリット・デメリット
コロナ禍でフィールドセールスの件数を稼ぐことが困難な中、インサイドセールスに代表されるように、オンライン営業が急速に拡大しています。
すでにオンライン営業を社内に定着させた企業も多いとは思いますが、改めてオンライン営業の主なメリット・デメリットを確認してみましょう。
オンライン営業のメリット
営業コストの削減につながる
オンライン営業を取り入れることで、営業員の移動機会は必要最小限になります。
頻繁に出張する必要がなくなれば出張旅費や宿泊費、日当などが削減されるため、会社全体での大きなコスト削減へとつながるでしょう。
営業範囲が拡大し商談件数も増加する
通信環境さえ完備されていれば、相手方がどこにいようとも営業できる点が、オンライン営業の大きなメリットです。
これまでは限られた範囲での営業しかできなかった企業でも、オンライン営業なら全国すべてが営業範囲となります。
外国語が堪能な営業員を雇えば、海外も営業範囲となるでしょう。
営業範囲が広くなるにもかかわらず、営業員は移動する必要がないため、1日でこなせる商談件数も増加します。
営業人材の育成が効率的になる
多くのオンライン営業ツールでは、リアルタイムで別の場所から先輩や上司が商談を閲覧できます。
商談終了後には、共有画面を通じて先輩や上司からすぐにアドバイスを行うこともできるため、人材育成が効率的になるでしょう。
また、ツールの録画機能で「できる営業員」の商談を録画し蓄積すれば、社内全体での営業スキルの向上・標準化を目指すための優れた研修資料として活用可能です。
オンライン営業のデメリット
初期コスト・ランニングコストが掛かる
オンライン営業ツールの中には無料で利用できるものもあります。
しかし、無料ツールの機能や利用範囲は限定されているため、本格的にオンライン営業をする予定でしたら有料ツールを導入することが必須となるでしょう。
また、オンライン営業を本格化するのでしたら、SFA(営業支援システム)/CRM(顧客関係管理システム)などのセールステックも完備することが理想です。
これらのシステムを導入して運用していくためには、相応の初期コスト・ランニングコストの発生は避けられません。
フィールドセールスよりも商材の魅力が伝わりにくい
パソコンやタブレットの画面を通じて商材を紹介しても、その商材の魅力が相手へ十分に伝わらないこともあります。
商材の質感や使い勝手などを十分に理解してもらいたい場合には、フィールドセールスを通じて実際に商材を手に取ってもらうことが必要になるでしょう。
相手企業の全体像が見えにくい
オンライン営業の画面を通じて見える映像は、基本的に相手の顔だけです。
フィールドセールスで感じ取ることのある社内の雰囲気の変化などは、画面から伝わりません。
社内の雰囲気の小さな変化は、その会社の潜在的なリスクを示すこともあります。
そのような嗅覚を働かせられない点は、オンライン営業の限界と言えるかもしれません。
コロナ禍がルート営業(訪問営業)にもたらした課題とは?
コロナ禍の影響でオンライン営業が急速に拡大してきたということは、逆に言えば、ルート営業(訪問営業)が急速に縮小してきたことを意味します。
しかし、いかにコロナ禍が深刻であったとしても、会社の売上アップのためにはルート営業(訪問営業)が欠かせません。
このジレンマの中、コロナ禍の影響でルート営業(訪問営業)には様々な課題が生まれています。
コロナ禍がルート営業(訪問営業)にもたらした主な課題を振り返ってみましょう。
相手企業から訪問を断られる
多くの人が感染リスクを懸念している新型コロナウイルス。
社内感染を防ぐため積極的にリモートワークを導入するなど、各社で感染リスクを最小限に抑えるための取り組みを懸命に行っています。
そのような中で、外回りや人と会う機会の多い他社の営業員を自社の空間に招くことは、企業にとってリスクです。「なるべくなら来てほしくない」というのが本音でしょう。
実際にルート営業の現場では、新型コロナの影響で既存顧客とのアポも取りにくくなった事例が多発しています。
あるいは、アポを取ったとしても十分な時間を割いてくれない、という声も聞かれます。
少なくとも、コロナ前には一般的に行われていた「近くに来たから寄ってみました」などのアポなしの急な訪問は、相手方から拒絶される可能性が高いでしょう。
アポの有無を問わず、既存顧客と定期的に顔をあわせることで信頼関係を維持し続けることが、これまでのルート営業の重要な役割の1つでした。
この役割を果たせない状況になりつつあることは、コロナ禍がルート営業に及ぼした大きな課題となるでしょう。
訪問日程の調整に手間がかかる
全国的にテレワークが拡大しているコロナ禍では、自社だけではなく、相手企業でもテレワークを推進している可能性が大です。
そのため、普段の商談相手がテレワークで不在になることも、まったく珍しくありません。
逆に、商談相手が出社する当日、自分がテレワークで在宅勤務となる可能性もあります。
お互いにオフィスと自宅を行ったり来たりする勤務形態では、コロナ前とは異なり、スムーズにアポを取ることは難しいでしょう。
訪問日程の調整に手間がかかるようになったことは、コロナ禍がルート営業に及ぼした課題の1つと言えます。
コロナ禍のルート営業(訪問営業)は無意味なのか?
コロナ禍の影響で急速にオンライン営業が拡大する中、もはやルート営業(訪問営業)は「無意味」「時代遅れ」なのでしょうか?
いえ、そのようなことはありません。いかにオンライン営業が経済社会へ拡大・浸透したとしても、ルート営業(訪問営業)にしかできない役割があります。
コロナ禍におけるルート営業(訪問営業)の主な利点・役割を見てみましょう。
信頼関係を背景に契約率が上がる可能性もある
コロナ禍の影響により、自社のみならず相手企業も、今後の売上に関して強い不安を抱えています。
このような不安の中で、まだ信頼関係の構築ができていない会社の営業員が訪ねてきたとしても、不安が先立って契約を決断することは難しいでしょう。
逆に、すでに信頼関係が構築されている会社のルート営業担当者であれば、比較的安心して契約を決断できます。
普段の行動も知り尽くした仲ですので、互いに「コロナ対策も万全だろう」という安心感もあるでしょう。
新たな会社からのアプローチが排除される分、以前に比べて自社の契約率や契約件数が増加する可能性もあります。
相手企業は訪問営業からの情報を求めている
コロナ禍の影響により、多くの企業では商談会やセミナー、展示会などに参加する機会が激減しています。
もとより、コロナ禍の影響でそれらのイベント自体が自粛されることもあります。
そのような状況下、外部の営業員がもたらす各種の情報は非常に貴重です。
多くの企業は、外部の営業員がもたらす業界のタイムリーかつリアリティある情報を求めています。
オンライン営業の効率化なら営業ツールの導入を
セールスイネーブルメント・営業活動の効率化のためには、テクノロジーを活用することが重要です。ツール選びでお悩みの方も多いのではないでしょうか。
営業支援AIツール「ACES Meet」をご利用いただくと、商談中の様子を録画して自動で文字起こしをし、議事録の作成まで自動で行えます。また、話しているスピードや内容などをAIが解析し、どんなトピックにどれくらい時間を使ったのか・重要な箇所はどこなのかを分かりやすく表示します。
営業ノウハウが属人化してしまってお悩みでしたら、ぜひ「ACES Meet」の導入をご検討ください。導入サポートとして、1ヶ月の定例MTG・初期設定の確認・セールスフォースとの連携などにも対応いたします。