ナレッジマネジメントとは?4タイプの違いやメリット、導入手順まで解説
更新日:2024年05月30日
公開日:2024年05月30日
ナレッジマネジメントとは、組織内の知識を有効活用する取り組みです。ナレッジマネジメントを行うと、メンバーの知識が日常的に共有されるようになり、業務の効率化につながります。
この記事では、ナレッジマネジメントのタイプや導入手順、注意点などについて解説します。
目次
ナレッジマネジメントとは?
ナレッジマネジメントとは、組織内の知識を有効活用する取り組みです。社員一人ひとりが持つ知識やノウハウは、企業にとって重要な資産といえます。
しかし、日々の勤務において、メンバー間で知識を共有するタイミングは少ないものです。また、属人化したノウハウは言語化が難しく、共有されないままになっているケースも多いでしょう。
ナレッジマネジメントは、業務ノウハウをメンバー間で共有し、生産性の向上につなげる取り組みです。チームにナレッジマネジメントを導入することで、社員が働きながら培った知識を無駄なく活用できます。
ナレッジマネジメントが注目されている背景
ナレッジマネジメントが注目されている背景には、DXや人材の流動化が挙げられます。ITの発達により多くのデータをすばやく処理できるようになり、企業間の競争力も高まっています。しかし、さまざまなデータを経営に役立てるには、自社が必要とする情報のみを抽出し活用しなければなりません。
また、人材の流動化により、企業では優秀な人材からのノウハウの継承が難しくなっています。貴重なデータ資源を有効活用し、ほかの企業との競争に勝てるよう、組織単位でのナレッジマネジメントが注目されています。
ナレッジマネジメントの4タイプ
ナレッジマネジメントは、以下の4タイプに大別されます。
- ベストプラクティス共有型
- 専門知ネット型
- 知的資本型
- 顧客知共有型
それぞれのタイプは特徴や目的が異なるため、自社に合ったタイプを選んで実践する必要があります。
ベストプラクティス共有型
ベストプラクティス共有型は、好成績を収めている社員の行動パターンをチームで共有するタイプです。成績のよい社員の行動を観察して文字に起こし、マニュアル化することでチーム全体のスキルアップを図ります。
ただし、優秀な社員の中には「自分の知識を教えたくない」「忙しくてマニュアル化する時間がない」というケースも少なくありません。知識のマニュアル化を図るには、個人のナレッジを収集する風土作りも求められます。
専門知ネット型
専門知ネット型は、専門知識を持つ人材のネットワークを構築し、問題解決を目指すタイプです。一般的には、専門家の知識をFAQの形でまとめ、社員がいつでもアクセスできるようにします。
また、Know Who(ノウフー)と呼ばれるシステムを導入し、専門家に対してすぐに質問できる環境を整える場合もあります。Know Whoを採用すると、誰がどのような知識を持っているかが明確になるうえ、専門家同士のコミュニケーションの機会も生まれます。
知的資本型
知的資本型は、組織が持つさまざまなデータにより新しい価値を生み出そうとするタイプです。知的資産とは、スキルや顧客とのネットワーク、ブランドなどの目に見えない資産のことで、企業の競争力を高める要素となります。
どのような企業にも知的資産はあるものの、上手に活用できていないケースは少なくありません。企業固有の資産の組み合わせにより、新たなビジネス機会や収益を生み出すきっかけにつなげていきます。
顧客知共有型
顧客知共有型は、顧客から得られるデータを用いてサービス向上を目指すタイプです。主に、カスタマーサポートの履歴やアンケート回答など、顧客からの情報をデータベース化したものを活用します。
顧客へのサポート事例をまとめることで、同じような問い合わせへの対応スピードを向上できます。部署間でデータベースを共有し問い合わせ対応を統一すれば、顧客満足度アップにもつながるでしょう。
ナレッジマネジメントを行うメリット
ナレッジマネジメントを行うと、以下の3つのメリットを得られます。
- 業務の効率化
- コストの削減
- 人材育成の効率化
業務の効率化により企業の競争力を高め、さらなる成長を促せることを理解しましょう。
業務の効率化
ナレッジマネジメントの導入により、今まで行えなかった部分の業務の効率化を図れます。普段から業務プロセスを改善したいと思っていても、日々の仕事に追われなかなか手につかないという企業は多いでしょう。
ナレッジマネジメントを進めていくと、業務プロセスが統一され手間やミスの削減につながります。最初はスモールスタートであっても、長いスパンで見ると生産性の向上や人件費の削減にもつながります。
コストの削減
ナレッジマネジメントの導入は、人件費や教育費用などのコスト削減にもつながります。ナレッジマネジメントで業務のクオリティが高まると、ミスをカバーするためにかける時間も自ずと減っていくからです。
たとえば、製造部門において専門家の知識を共有すると、不良品が減り材料費や廃棄コストの削減を期待できます。企業はコスト削減により収益性を高め、競争力の強化につなげられるでしょう。
人材育成の効率化
ナレッジマネジメントの導入は、人材育成ノウハウの効率化にもつながります。ナレッジマネジメントで共有される知識は、これまで企業が培ってきた事例や優秀な社員による成功のノウハウです。
重要なポイントが集約されたナレッジを共有することで、社員は効果的にスキルアップを図れます。新人研修で先輩社員のノウハウを用いれば、即戦力としての成長が期待できるでしょう。
ナレッジマネジメントを行う際の注意点
ナレッジマネジメントを行うにあたり、以下の点に注意しましょう。
- システム導入に費用がかかる
- 社員に浸透しない可能性がある
システム導入に費用がかかる
ナレッジマネジメントを導入する際は、システム導入に費用がかかる点に注意しましょう。知識を共有するための社内SNSやデータベースには、初期費用やランニングコストがかかります。
システムに投資するからには、費用に見合った成果を挙げるべく企業の価値を最大限に高めたいものです。自社がシステムを導入してどれほど収益につながるのか、費用対効果の十分な検討が求められます。
社員に浸透しない可能性がある
ナレッジマネジメントの導入準備が足りないと、社員に浸透しない可能性があります。ナレッジマネジメントは社員が主体となって行うため、運用の意義をあらかじめ周知する必要があります。
運用の意義が明らかでないままプロジェクトが進むと、社員の主体性を上手く引き出せません。ナレッジマネジメントがなぜ必要なのかを説明したうえで、現場の理解を得ながらモチベーションを高める工夫が必要です。
ナレッジマネジメントのフレームワーク「SECIモデル」とは?
ナレッジマネジメントを行う手順の一つに、SECI(セキ)モデルがあります。SECIモデルのプロセスを理解し、ナレッジマネジメントを実践しましょう。
SECIモデルの「暗黙知」と「形式知」とは
SECIモデルに触れる前に、知識の種類である「暗黙知」と「形式知」について知っておきましょう。
- 暗黙知:言語化されていない知識
- 形式知:暗黙知を言語化し、誰もがアクセスできる知識
暗黙知とは「職人の勘」や「熟練のテクニック」のような、言語化されていない感覚的な知識のことです。勘はその人の経験や感覚によって培われるため、言語化が難しく周囲にも共有されにくいという特徴があります。
一方、形式知とは、暗黙知を言語化し誰にでも分かるように表現した知識のことです。たとえば、マニュアルは形式知にあたり、誰もが理解しやすい形になっています。ナレッジを暗黙知から形式知に変換することで、新たな知識として活用できるとされています。
SECIモデルの4つのプロセス
SECIモデルは、共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)の4つのプロセスを循環するフレームワークです。
- 共同化:個人が暗黙知を獲得する
- 表出化:暗黙知を言語化しチーム全体で共有する
- 連結化:表出化された形式知を組み合わせ、新たな知識を創造する
- 内面化:形式知を自分の経験と結びつけて、暗黙知として獲得する
1から4のプロセスを循環することで、新たな知識の創造につながります。
ナレッジマネジメントを導入する流れ
一般的に、ナレッジマネジメントは以下の流れで導入します。
- 目的を明確にする
- 共有したい情報を決定する
- 情報共有の場をセッティングする
それぞれのステップにおけるコツを理解しましょう。
目的を明確にする
ナレッジマネジメントの導入にあたり、目的や達成したい目標を明確にしましょう。主に「チームや社員にどのようなメリットがあるのか」「何をどれほど達成するのか」について決めます。
ナレッジマネジメントのキーマンは、実務で知識を蓄えている社員です。ナレッジマネジメントの意義を社員に伝えることで、自分の知識がチーム全体に役立つことを理解し、積極的な協力を促せます。
共有したい情報を決定する
次に、ナレッジマネジメントにより共有したい情報を決めましょう。共有する事項は「社員が業務をする上で困っていること」をベースに考えるとスムーズです。
社員が抱える課題を明確にするには、具体的な状況や問題点のヒアリングが有効です。複数の社員から得られるアイデアをもとに、共有する知識の要件をまとめていきます。
情報共有の場をセッティングする
共有する情報がまとまったら、ナレッジを共有する場のセッティングを行います。以下は、ナレッジを共有する場の例です。
- 会議での発表
- マニュアルへの追加
- データベースへのストック
ナレッジに気軽にアクセスできる環境を整えることで、知識の共有が日常的になります。ナレッジを業務プロセスに組み込む過程もスムーズになるため、自社に合った共有方法を考えましょう。
ナレッジマネジメントで業務効率化を図ろう
ナレッジマネジメントは、自社の資源を最大限に活用し生産性アップを図るプロセスです。一度ナレッジマネジメントのシステムを構築すれば、度重なる知識のアップデートにもスムーズに対応できます。
ナレッジマネジメントを行い、自社に合った形で業務効率化を図りましょう。
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