マネジメントとは?意味や種類・ビジネスシーンでの役割や必要とされるスキルを紹介
更新日:2024年05月30日
公開日:2024年03月24日
ビジネスシーンで「マネジメント」と言う言葉を耳にすることは多いと思いますが、正しく意味を理解している人は少ないのではないでしょうか。特に管理職は組織としての成果を出すために、マネジメントの専門的な知識や能力を身につけることが求められます。
この記事では、マネジメントに欠かせない9つのスキルや、多岐にわたるマネジメントの種類について解説します。また、あると良い資格についても紹介しますので、マネジメント力の向上に役立ててください。
目次
マネジメントとは?
マネジメントを直訳すると、管理や経営という意味を持ちます。アメリカの経営学者、ピーター・ドラッカーは「組織に成果を上げさせるための道具、機能、機関」と定義しています。具体的には、組織の成果を上げるために、自社の「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」といった経営資源を正確に把握し、あらかじめ設定した自社のミッションや目標の達成を目指すことです。
マネジメントの定義と概念
マネジメントの概念は、1973年にピーター・ドラッカーが刊行した著書『マネジメント』の中で提唱した言葉とされています。ドラッカーが著書の中で「マネジメントとは組織に成果を上げさせるための道具・機能・機関」と定義しました。つまり、成果を上げることを大前提とし、組織において成果を上げるために共通して役立つ理論と言えます。
ドラッカーが提唱するマネジメントの役割は以下の3つです。
- 組織に特有の目的と使命を果たすこと
- 働く人たちを活かすこと
- 社会の問題解決に貢献すること
すなわち、マネジメントをするには、組織としての使命や、資源としての人材、組織が社会に与える影響について理解することが必要なのです。
マネジメントの必要性
マネジメントは組織の目標を明確に把握して達成し、持続的な成長と発展のために必要です。マネジメントにより、組織が進むべき方向に向かって、経営資源を効率的に活用・最適化し、達成するための組織運営ができます。
目標達成のためにマネジメントを通じて計画の方針などを決め、適切なアクションを実行することが重要です。具体的には、業務をスムーズに遂行するために、推進すべき目標や優先順位を明確にして、経営資源を最大限活用して効率的な組織運営に取り組みます。
組織を発展させるために、従業員の能力を発揮するのに相応しい活躍の場を与えたり、従業員を育成することで、成果の最大化を図れます。
マネジメントの役割
マネジメントの役割は目標達成に向け、目標・案件・プロセスの管理をすることです。マネージャーは組織や自分自身、部下の目標設定の管理を行い、組織の持続的な発展のために成果をあげられるよう方向性を統一します。また、目標を達成するための計画や戦略を策定することも重要です。
加えて、組織で目標を達成するために必要となるモチベーションの維持や、人材育成と評価、リスク管理などもしなくてはいけません。高いモチベーションを維持することは、生産性の向上にもつながります。人材育成においては、個々の適正や価値観、強みや弱みを把握することが重要です。成果に対する評価やフィードバックも欠かせない要素であり、適正な評価をされていると感じれば、モチベーションの向上にもつながります。
マネジメントに必要とされるスキル
マネジメントは組織の目標達成や、持続的な成長・発展をするという責務があります。責務を果たし成果を出すためには、さまざまな場面を把握し、必要な知識や能力を身につけておくことが必要です。ここからは、マネジメントに必要とされるスキルについて解説します。
データ・数値の分析スキル
マネジメントにおいてITやデータ分析、数値管理をすることは必須です。データを活用した戦略が行えないと、改善方法などを素早く発見することができません。意思決定や戦略の策定には、情報やデータから価値ある洞察を引き出す必要があります。データ分析により、得られた洞察を元に、実際の業務や戦略に反映させて実行していきます。
しかし、多くの企業では、データを活用できていない、または、データを分析・活用できる人材がいないというのが現状です。
一方で、スマホの普及により取得できる顧客データは増えています。また、データ処理や可視化するためのツールが一般化されてきたことから、データや数値の分析スキルが、今後のマネジメントには求められるのです。
本質を見抜く力
経営方針や各部署の運営を最適化することが求められるマネジメントにおいて、本質を見抜く力は必須です。表面的な部分だけではなく、見えていない部分まで見抜いていく洞察力が求められるのです。
表面的な情報に惑わされることなく、正確に状況を把握して問題の本質を見抜くことで、より効果的な意思決定が可能となります。短期的な成功ではなく、長期的なビジネス戦略を立てられるのです。
また、問題解決能力を高め、明確な目標と方向性を示すことで、組織全体のモチベーションと効率を高めることができます。チームメンバーは、目標にどのように自分たちの仕事が貢献しているのかを理解でき、より一層やりがいを感じるでしょう。
意思決定のスキル
組織を管理する中で、意思決定する場面と言うのは日常的にあることです。マネジメント業務において、重要な局面で判断を迫られることも多く、異論や対立などにより全員の賛同を得られないこともあります。客観的な見方ではなく、自身の軸も持ちながら組織の方針に沿った目標設定や人員配置、メンバーへの指示等を行うことが求められます。組織のビジョンと矛盾したり、方針にズレがあった場合、部下からの信頼度が著しく低下する可能性があるため、意思決定には慎重さが必要です。
また、問題が発生した際には、迅速な意思決定が求められます。対応の遅れにより、目標が達成できない、または生産性の低下などにつながる可能性が考えられます。
コミュニケーションスキル
マネジメントを行う上でチームをまとめる能力としてコミュニケーションスキルも重要です。組織の目標達成や生産向上のためには、自身の意見をメンバーに理解してもらうと同時に、メンバーの意見や思いを引き出す必要があります。
コミュニケーションスキルが不足した場合、メンバーの意見や思いを引き出すことが困難で、組織として一体感を出すことができません。メンバーがバラバラに動いてしまう組織では目標を達成できる確率は低くなります。組織内の認識をすり合わせるためには、意思疎通を図るための双方向コミュニケーションが必要です。
また、組織を管理する立場の場合、取引先や顧客といった関係者と良好な関係を築くためにも、コミュニケーションスキルは求められます。
管理のスキル
目的を成し遂げるためには、目標や個々の業務に対しての進捗状況の把握、プロジェクトにおける問題解決、スケジュール管理やリスク管理なども担います。
また、組織として成果を出していくためには、以下の観点から管理のスキルが必要です。
- 目標達成のために組織を適切に機能させる
- 生産向上のために適切な組織構成や業務の振り分けをする
- 業務への基準を高めながら、組織全体の業務の質の向上をする
さらに、正しく管理するために、効果を測定するだけではなく、メンバーに対してのフィードバックを適宜実施する必要があります。個々の能力を発揮できる環境の整備をし、相手の立場に立って物事を考えることも重要です。
論理的思考力
マネジメントには、ロジカルシンキングと言われる論理的思考が求められます。物事の結果と原因を的確に捉え、両者のつながりに道筋を立てて論理的に考える思考です。
たとえば、組織のメンバーに業務の目的や業務内容を説明する際「業務を行う必要性は何か」「なぜこの判断を下したのか」を論理的に説明するよう心がけます。論理的な説明を聞くことで、メンバーは納得して業務に取り込むことができるのです。
また、マネジメント業務には、適切な人員配置や経営に影響する問題やトラブルへの対応といった判断が求められる場面が存在します。その際に正しい判断をするためにも、論理的思考を身に付けておく必要があります。
リーダーシップ力
組織の目標を成し遂げるための手法を考え、管理するマネジメントには、目標達成のためにメンバーを導くリーダーシップ力も求められます。
メンバーの指導やコーチング、モチベーションの管理などは、全員に対して同じリーダーシップを取ればいい訳ではありません。メンバーそれぞれが持つ考え方や価値観は異なるため、一人ひとりの考え方や価値観を見極め、メンバーの特性に応じたリーダーシップが必要です。同時に、状況判断を適切にし、その場に適したリーダーシップ力も兼ね備える必要があります。
また、何をすべきかをメンバーに伝えるリーダーシップがあることで、戦略に沿っていかに効率良く業務を勧めていくようにするかを考えるマネジメントの意味が活きてくるのです。
評価能力
メンバーの能力を引き出すためには、評価能力も必要です。効率的に目標を成し遂げて、組織の成長へとつなげられるように、メンバーを適切に評価することが求められます。評価は、メンバーの能力や特徴、価値観、強み・弱みを把握することから始まります。主観的にならないよう注意深く観察し、組織が定める評価基準に基づいて、客観的な評価をすることが重要です。
適切な評価により、適材適所で仕事を割り振ることができれば、メンバーとの意思疎通ができ、目標達成するためのチームが構築できるでしょう。現状について正しく評価できる能力があれば、メンバーの特徴や相性などを考えた配置や役割を与えることができ、モチベーションの維持にも役立ちます。
ファシリテーション能力
会議の場で発言しやすい環境をつくり、会議を円滑に進行するための舵取りをするファシリテーション能力も必要です。ファシリテーション(facilitation)はもともとは「促進すること」「容易にすること」と言う意味を持つ言葉です。具体的には参加者の意見やアイデアを効果的に引き出しながら進行し、議論を活発化させ、最終的には参加者の合意形成を図れるように会議を進行します。
たとえば、会議において「参加したけれど結局結論に至らなかった」「いつも同じ人が発言をして若手や新人は発言の機会がない」というケースは良くあることです。ファシリテーション能力を持っていることで、ただ会議の進行をするのではなく、参加者全員が意見を出しやすい環境の整備や、中立な立場から目標に向かって進行することが重要です。
マネジメントの種類
マネジメントは、役割によって大きく3つの階層に分けられ、階層ごとに求められる役割や責任が異なっています。ここからは階層別マネジメントの種類について解説します
トップマネジメント
トップマネジメントは経営に直結する最高経営者層や、組織の最高経営者陣に求められるマネジメントです。主に取締役会のメンバーである会長、社長、副社長、常務、専務や、組織の各部門を仕切る執行役員が該当します。
トップマネジメントの役割は、組織の基本方針や経営方針を決定し、経営計画を立てて組織の運営方針を決めることです。経営に関する総合的な意思決定や最終的な責任を担い、組織全体の統括を行います。経営方針を明確にし重要な意思決定を行う役割があるため、強力なリーダーシップが求められる層です。
また、経営に精通していることに加え、状況を冷静に判断する分析力や決断力、従業員や取引先との良好な人間関係を築くための人間力も兼ね備えている必要があります。
ミドルマネジメント
ミドルマネジメントは、経営陣と現場の橋渡しをする中間管理者層のことです。主に部長、課長、支店長、工場長、マネージャーなど中間管理職と言われる層が該当します。
ミドルマネジメントの役割は、経営者層のトップマネジメントに対して、計画立案の手助けをしたり、課題の報告をするなどのサポートを行うことです。一方、現場の作業管理者であるローアマネジメントに対しては、戦略的判断や組織の運営方針を正しく理解して、通達する役割を担います。同時に、ローアマネジメントを指揮監督するとともに、現場の意見を吸い上げて経営陣に伝える重要な役割もあります。
経営陣と現場をつなぐ重要なパイプ役であり、組織が大きければ大きいほど重要なポジションになり、組織内の意思疎通に欠かせない存在です。
ローアーマネジメント
ローアーマネジメントは、現場の管理をする監督層です。主に係長や主任、現場リーダー、チーフなどの監督者層、下級管理者層が該当します。
ローアーマネジメントの役割は、組織として目標に掲げた計画や戦略を達成するため、作業活動を指揮・監督してメンバーを束ね、指導することです。ミドルマネジメントからの指示を現場の活動に反映させ、トップマネジメントが理想とするビジョンを施策に落とし込んで実現を目指す役割を担います。本人もメンバーと現場で連携して活躍することを求められる点が、他のマネジメントとは異なります。
一方で、チームを円滑に回すことも重要で、業務が空回りしていないか、チームで連携が取れているかなどを俯瞰し、業務の進捗管理をすることも基本的な役割です。
マネジメントにあるとよい資格
マネジメントを円滑に進めるためには、マネジメントに関する経験に加え、専門的な知識も必要です。ここからはマネジメントにあると良い資格について紹介します。
PMP®(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル )
PMP®はアメリカのPMI本部が資格認定を行うプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。(※1)PMP®試験はプロジェクトマネジメントに関して、受験者の経験や教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認・認定を行う試験です。法的な資格や免許ではありませんが、グローバルな資格として証明でき、業種や業界にとらわれず、ビジネスにおいて目標達成するための知識とスキルを習得できます。
日本でも転職やキャリアアップ、実務でのマネジメントスキルの向上を目指す人や、転職やキャリアアップなどに有効であると高く評価されている資格のひとつです。PMP®を取得することで社内外にプロジェクトマネジメントの専門家としての知識を有していることをアピールできます。
(※1)参考:一般社団法人 PMI日本支部「PMP®資格について」
NPMO認定PJM-A™(プロジェクトマネジメント・アソシエイト)
NPMO認定PJM-A™は一般社団法人日本PMO協会が資格認定を行っています。未来に目標を設定し、それを達成するための活動であるプロジェクトの現場業務において、基本的に習得すべき知識と技術を確認し、それを認定する実践重視の資格です。(※2)
映像型のeラーニングとオンライン試験の導入により、忙しい人でも自分のペースで学び、資格取得までがオンラインで完結するのが特徴です。
NPMO認定PJM-A™を取得することで、あらゆる業種、業態でのプロジェクトの現場業務においてスキルアップを目指せます。また、NPMOが第三者機関として習得した知識や技術を認証することにより、知識と技術を証明できます。
(※2)参考:日本PMO協会(NPMO)公式「【認定資格】プロジェクトマネジメント・アソシエイト認定資格」
メンタルヘルス・マネジメント®︎検定
メンタルヘルス・マネジメント®︎検定は大阪商工会議所が主催する認定試験です。全国15都市で統一試験日に実施される公開試験と、企業が任意に試験日時や場所を設定して実施される団体特別試験の2種類があります。(※3)
メンタルヘルス・マネジメント®︎検定は、働く人たちの職場内での役割に応じて必要な心の健康管理に関する知識や対処方法に関する知識に関する試験です。心の不調を未然に防ぎ、活力ある職場づくりを目指すことを目的としています。
メンタルヘルス・マネジメント®︎検定は、Ⅰ〜Ⅲ種に分かれており、マネジメントにおいてはⅡ〜Ⅰが該当します。資格取得により、部下やチームメンバーの心の健康管理に役立てることができます。
(※3)参考:メンタルヘルス・マネジメント検定試験「試験のご紹介」
マネジメントを活用して組織全体の成果向上を目指そう
マネジメントは経営や組織管理をするうえでとても重要です。組織の持続的な成長と発展のためには、マネジメントの意味や種類を理解し、それぞれの立場に応じてビジネスシーンで役立てましょう。マネジメントをすることは組織の成果を上げ、安定した経営状態を維持することにつながります。
この記事で解説した内容を参考に、マネジメントを活用して組織全体の成果向上を目指しましょう。
新人育成の成功にはAIツールがオススメ
オンラインでも、オフラインでもAIが議事録を自動作成してくれるOJT支援AIツール「ACES Meet」。
このツールは、商談やミーティング中の様子を録画、AIが自動で文字起こし、議事録の作成まで行えます。また、話しているスピードや内容などをAIが解析し、どんなトピックにどれくらい時間を使ったのか、重要な箇所はどこなのかを分かりやすく表示します。
この議事録を見ることで、振り返りやナレッジの蓄積、タスクの抜け漏れ防止にもなります。また、トッププレイヤーの録画映像は、生きた教材となり、良質なOJTとなるでしょう。
まずは情報収集として、お気軽に資料をダウンロードしてみてください。