OJTではフィードバックが重要?フィードバックが重要な理由や注意点も解説
更新日:2024年05月17日
公開日:2024年05月17日
新入社員や派遣社員への教育研修には、実際の現場で指導するOJT研修が欠かせません。OJTを行う際には適切なフィードバックの提供が必要ですが、効果的なやり方を知りたいという人も多いでしょう。
この記事では、OJTの概要や手順、OJTでフィードバックが重要な理由、実施の際のポイントを解説しています。効果の高いフィードバックの方法を実践し、OJTを成功に導きましょう。
目次
OJTとは?
OJTとは「On the Job Training」の略で、職場での実務経験を通じて業務に必要な知識や技術を習得する育成方法のことです。OJTの対象者は新入社員や業務未経験者で、同じ部署の上司や先輩がトレーナー(育成担当者)となり育成を行います。
マンツーマンで指導するため、コミュニケーションが取りやすく、個人のスキルや習得度に合わせた指導ができるのが特徴です。実際の業務を現場で行うので、研修だけでは身につかないスキルやコツも伝えられます。トレーナーとOJT対象者の距離が近いため、疑問や不安などを相談しやすいのもメリットです。
OJTでは目標に到達するためのフィードバックや評価が欠かせません。それによりOJT対象者の成長を促し、モチベーション向上や早期の戦力化を図ることができます。OJTは職場でのコミュニケーションにも役立つため、離職防止にも効果的です。
OJTによって社員の早期戦力化や定着化が実現できれば、職場の生産性や業務効率の向上にもつながります。OJTトレーナーは適切なフィードバックを実施し、対象者の成長を促し、OJTの目標を達成することが求められます。
参考:OJT(On-the-Job Training)とは?企業と社員のメリット、デメリットを解説
OJTのやり方・手順
OJTを実施する際は以下の手順に沿って行います。この4つのサイクルを繰り返しながら指導し、目標達成に導いていきましょう。
Show:やってみせる
はじめに業務に熟練したトレーナーが実際の作業をデモンストレーションして見せます。たとえば、営業先に同行したり、受付で顧客に対応したり、ツールを操作するなどです。説明するだけではなく実際の作業をして見せることが肝心です。
これによりOJT対象者は業務の流れや手順を視覚的に捉え、知識と具体的な行動を結び付けることができるようになります。業務をリアルに体験することで実践的なイメージをつかみやすくなり、理解を深めることにつながります。
同じ作業であっても使用するツールによって手順が変わるなど、現場ならではの指導ができるのはOJTの強みです。新卒社員の場合はビジネスパーソンとしての対応や心構えなども含めて指導することが重要です。
Tell:説明・解説する
デモンストレーションの後は、実行した業務の背景にある理論やプロセスについて説明します。特定の手順が実施された理由や、行った業務が全体のプロセスにどのように組み込まれているのかなども解説していきましょう。これにより業務で成果をあげることと、会社に貢献することが結びつき、帰属意識を高めることにつながります。
説明の後はOJT対象者に疑問点や不明点がないか聞き、業務の目的や背景をきちんと理解できているか確認することが必要です。ここではOJT対象者の知識やスキルレベルに合わせて、理解しやすい言葉や資料などを用いて伝達することが大切です。
OJT対象者が業務の進め方や作業手順に対して理解が曖昧である場合は、もう一度デモンストレーションすることも考慮します。
Do:やらせてみる
説明を経て、OJT対象者が理解を示したら、今度は実際に業務を行わせます。トレーナーや指導者は実践する様子を観察し、適切なフィードバックやアドバイスを提供します。
対象者はデモンストレーションと解説から得た知識や理解したことを実践し、経験を積むことでスキルを磨いていきます。はじめからスムーズにできなくても当たり前なので、繰り返し行い、流れや手順などがインプットできているか確認します。
トレーナーは必要に応じて補助し、OJT対象者が1人で実行できるように支援しましょう。OJTトレーナーは、方向性を示しつつ対象者が自分で目標達成できるように導くのが役割です。
Check:評価・追加指導する
実践が終わったら、トレーナーはOJT対象者のパフォーマンスに対して評価を行います。業務の達成度や作業の正確性、コミュニケーション能力などが対象となります。
うまくできた点や改善が必要な点をフィードバックし、追加の指導が必要な場合は実行しましょう。できていなかった点についてはなぜできなかったのか振り返り、どうすればできるようになるか説明します。
トレーナーが伝えきれていなかった部分があればその点についても追加指導します。ここではOJT対象者自身も自己評価を行い、理解度やスキルの習得度を自分でも確認することが重要です。
評価は段階を踏んで行うようにし、スモールステップで徐々に最終目標達成を目指します。スキルの習得度合いに鑑みて、柔軟に目標やスケジュールの見直しも行います。
OJTを実施する上でフィードバックが重要な理由
OJTを順調に進めるためには、フィードバックが大変重要です。トレーナーはフィードバックによってOJTの方向性を正したり、OJT対象者のモチベーションやスキルの向上促進などを行います。フィードバックが重要視される理由についてきちんと理解しておきましょう。
学習の方向性を修正するため
フィードバックはOJT対象者が目標に対して正しい方向に向かっているかどうかを確認するのに役立ちます。業務を実践する際に間違った手順や理解の誤りがあると、目標に到達することが難しくなるからです。
トレーナーからのフィードバックを受けることで、OJT対象者が修正すべき点が明らかになり、効率的な学習を促進できます。OJTをスケジュール通りに行うためにもフィードバックによって段階的に目標に近づくことが重要です。
また、フィードバックすることでトレーナーの指導が適切であるかも判断できます。OJTの目標に対して効率よく、対象者に合った方法で指導できているかを振り返る機会となるからです。
モチベーションを維持するため
フィードバックはOJT対象者のモチベーションを維持する重要な要素です。フィードバックがないと、対象者は自身がOJTプログラム通りに成長しているか、職場で期待されているかが判断できません。トレーナーからパフォーマンスをしっかり見ていると伝える意味でも、定期的なフィードバックが大切です。
適切なフィードバックを受けることでOJT対象者は自身の成長や進歩が実感でき、モチベーション向上につながります。ただし、不適切なフィードバックを提供すると、モチベーションや学習意欲の低下を招くことがあるので注意が必要です。
トレーナーはどのようなフィードバックが不適切なのかしっかり理解して、OJT対象者の成長を促進することに焦点を当てましょう。具体的なフィードバックのポイントについては次章で詳しく解説します。
スキルの向上を促進するため
OJTにおけるフィードバックは、対象者の能力やスキルを向上させるための重要な手段です。フィードバックがないと、対象者はトレーナーの示したやり方や意図通りに実行できたのか確信が持てません。実践したことに関して、タイミングを逃さず具体的なアドバイスや改善点を提供していきましょう。
それを受けてOJT対象者は実務を振り返り自己評価し、次のステップに向けて効果的な行動を取ることができるようになります。また、自分で思っていたよりうまくできていた点に気づき、自信を深めたりやる気を出したりもできるでしょう。
定期的に具体的なフィードバックを行うことで、OJT対象者のスキルの継続的な向上が促進されます。スキルの上達により生産性を高めることができれば、職場全体の業務効率も高まります。
コミュニケーションを促進するため
フィードバックはトレーナーとOJT対象者が良好なコミュニケーションを図るために有効です。OJTでは基本的にマンツーマンで話し合うため、定期的に行うことで親密度が高まります。これにより、OJT対象者にとって不安や疑問を抱え込まずに相談しやすい環境を作ることが可能です。
フィードバックは一方的に指摘するのではなく、対象者の意見や状況、考えを聞く機会でもあります。双方向のコミュニケーションを通じて、業務に関する理解や期待を明確にするとともに信頼関係を深めることができるでしょう。
トレーナーと対象者が良い関係を築くことは、職場全体の雰囲気にも影響します。OJTは現場で行う育成法なので、実務を行いながら職場のスタッフともコミュニケーションの機会を持てます。OJT研修を受けながら職場にも馴染んでいけるため、早期離職の防止にも効果的です。
OJTのフィードバックを実施する際に注意すべきポイントとは?
OJTでフィードバックを実施する際には以下の点に注意が必要です。トレーナーがこれらのことを十分理解することで、適切なフィードバックの提供とOJTの成功が可能になります。
事前通知と適切なタイミングを心がける
フィードバックは事前通知と適切なタイミングで提供することが重要です。はじめのうちは特に、フィードバックをしたいということを事前に伝えることで、OJT対象者は適切な心構えができます。この際にフィードバックがどのようなねらいで行われるのかも伝えておくと、一方的に叱られると身構えてしまうことを防げます。
また、フィードバックは振り返り作業ですので、できるだけリアルタイムで行うようにしましょう。適切なタイミングを逃すと記憶が曖昧になり、誤解が生じたり問題が悪化したりする可能性があるからです。
ただし、直後にフィードバックする際はネガティブな内容にならないように意識することが大切です。トレーナーは指導の際には感情に任せないように気をつけましょう。
具体的な内容を伝える
フィードバックは具体的であればあるほど効果的です。一般的な指摘や曖昧な表現では、どの点を改善すべきか伝わりにくくなるからです。担当するOJT対象者にうまく伝わるような説明の仕方を考えましょう。
また、フィードバックはまとめてではなく、1つ、または2つの事柄について行うのが基本です。1度に提供するフィードバックの量が多すぎると、対象者は防御的になり、素直に対応することが難しくなるからです。
わかりやすく例をあげるなどして、実現可能な改善案などを詳細にフィードバックしていきます。フィードバックが具体的であるほど受け入れやすく、行動に移しやすくなります。
肯定的な側面と改善点のバランスを考慮する
フィードバックは実行したことを振り返り評価することですので、肯定的な面と改善点の両方を含めることが重要です。実践でできたことや良かった点は褒めるようにし、さらに伸ばすことを奨励します。これによりOJT対象者のモチベーション向上や成長が期待できます。
改善点や課題についても明確に提示し、なぜできなかったのか、どのような改善方法があるか話し合いましょう。改善点や課題は小さな目標を設定して、段階を踏むと取り組みやすくなります。トレーナーと対象者が一緒に改善方法を考え、次の段階に向けての行動に移していくようにします。
このようにフィードバックでは改善点だけを取り上げるのでなく、肯定的な側面も強調し、両者のバランスを取ることが大切です。
双方向のコミュニケーションを意識する
フィードバックはトレーナーが一方的に話すのではなく、双方向のコミュニケーションであることが必要です。OJT対象者もフィードバックに対して意見や質問を述べることができるようにし、トレーナーとの対話を促進します。
トレーナーは改善点や課題について、指摘するだけでなく対象者の考えも聞き、受け入れることが必要です。どのような改善策があるか本人にも考えさせ、実現可能で効果のありそうな案を一緒に選びます。互いに意見を出し合い話し合うことで理解が深まり、よりOJTの効果が高まります。
一方的に課題や改善方法を押し付けられるより、自分が考えた改善案の方が納得して取り組めるものです。自分の意見を受け入れてくれた体験は、よりトレーナーとの関係を良いものにしてくれるでしょう。
感情的にならず建設的なアプローチを心がける
OJTトレーナーがフィードバックを行う際は感情的にならず、建設的なアプローチを心がけることが大切です。適切な言葉遣いやトーンなどを意識し、OJT対象者をサポートし、成長の機会を提供していることを態度で表しましょう。
フィードバックの内容についても批判的な指摘や非難は避け、建設的で相手が改善できることに焦点を置きます。OJTの目標に向かって共同で進む姿勢を示すことで、信頼関係も深まり、効率的にOJTが実現できます。
また、フィードバックした内容が改善されているかを確認するフォローアップも大切です。うまくいっていない場合は、軌道修正が必要になるため、スケジュールの調整なども行います。
OJT成功には適切なフィードバックが不可欠
フィードバックは、OJT対象者の軌道修正やモチベーションの維持、コミュニケーションの促進などに有効な育成手段です。OJTを実施する上で大変重要な役割を持っているため、トレーナーには適切なフィードバック実施が求められます。
OJTで上手なフィードバックを行うためには、適切なタイミングや内容について理解する必要があります。ポイントを押さえて、OJT対象者を効率的に成長促進できるフィードバックを実現しましょう。
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